運営費交付金の逓減を追認し,基盤的経費の政策経費化を進める文部科学省の「元気な日本復活特別枠」要望 2010年10月3日 国立大学法人法反対首都圏ネットワーク事務局

運営費交付金の逓減を追認し,基盤的経費の政策経費化を進める文部科学省の「元気な日本復活特別枠」要望

2010年10月3日 国立大学法人法反対首都圏ネットワーク事務局

菅内閣は9月28日より「元気な日本復活特別枠」要望に関するパブリックコメントの募集を開始した.文部科学省もそれに合わせて独自のサイトを文科省のウェブサイト内に設置し,(http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/22/09/1298018.htm)パブリックコメント運動に取り組んでいる.また,半数を超える国立大学のウェブサイトには,教職員・学生・関係者に対して特別枠獲得のために積極的にパブリックコメント提出をするよう依頼する学長名の文書が掲載されている.その内容は,あたかも判で押したように,特別枠が認められなければ運営費交付金が4.8%減額され,大学での研究教育が立ちいかなくなることを指摘し,多数のパブリックコメントを出すことで特別枠獲得の可能性が高まるとしている.しかしながら,この予算編成のやり方に対する批判的見地が全く抜け落ちているのは大きな問題である.

本事務局は7月8日付の「公共サービス改革基本方針・中期財政フレームと小泉構造改革をさらに強権的に推進しようとする菅内閣 」(本事務局ウェブサイト参照 http://www.shutoken-net.jp/)で指摘したが,菅内閣は改造後も小泉構造改革をさらに進めようとしており,今回の政策コンテストなるものも,あたかもパブリックコメントで広く意見を聴取したような装いをしつつ,実態は強権的に選択と集中をさらに進めようということに他ならない.このような批判的視点を欠いたパブリックコメントは,書いた人の意志はともかく,結果的に強権的な選択と集中を是認し,国立大学の従属化を一層進めるものとなろう.

本事務局は,以下に述べるような点から文部科学省の特別枠要望については大きな問題があることを指摘しておきたい.

1.国立大学法人運営費交付金に「効率化係数」の名前を変えただけの「大学改革促進係数」1%がかけられ,事実上運営費交付金の逓減を追認していること

2.国立大学法人運営費交付金,私立大学等経常費補助,科学研究費補助金などを減額して,「強い人材」「成長牽引」といった国策的経費の復活により補填しようとするやり方は,基盤的経費のいっそうの政策経費化をすすめるものであること

3.奨学金事業や若手研究者育成にかかる経費は,復活の保障がない復活特別枠ではなく,概算要求枠の中で要求すべきものであること

4.奨学金事業に関する「要望」(番号4)は,「ボランティア活動」参加者が有利になることで,奨学金制度の趣旨を変質させること

5.そもそも,「新成長戦略」に基づく「中期財政フレーム」の一律適用自体が不当であること

以上

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