《追悼》『法人化』に反対された井上ひさしさん(その2) 5 *集会参加者の感想・ご意見*

 

*集会参加者の感想・ご意見*

井上ひさし氏の講演「都市の中の大学」を聴いて
横浜市大OB  村瀬弘明

私は、6月7日の「横浜市大および附属2病院の存続・発展を求める市民の夕べ」で、井上氏の講演を聴いて、重たい感銘を受けました。井上氏は、大学の本来の役割を、ボローニャ大学の例を挙げ、(1)教員が、学生・市民の役に立つ内容を常々、研究していて、それを教えること、(2)将来役に立つかも知れないことを研究していて、いつでも対応できるようにしておくこと、と説明されていました。

また、市民の役割を、(1)大学の先生を信頼して、大学に協力すること(2)必要が生じたら、問題の解決を大学に求めること、と説明されていました。

私はお話を拝聴しながら、上記のような関係が、大学と市民の間にできたら、どんなに素晴らしいことかと胸を弾ませました。

しかしながら、この関係を作り出すためには、大学の先生も、市民も、大変な苦労が必要だろうこと、私が大学の先生の立場になったら、また、市民の立場になったらと思い、正直、重たい気分になったものです。ですが、両者のなすべきことは明確ですので、努力する励みになることは疑いを入れません。

ところで、横浜市大および附属2病院は、過去の業績からどの程度、ボローニャ大学の方向に進んできたのだろうかと、少々考えてみました。市大では、環境ホルモンの研究やゲノムの研究、地震の研究、その他、私の承知していない内容で、横浜市民や全国の人々に貢献しているようです。また、附属病院では、癌の研究や、緊急治療や、日々の医療活動で秀れた貢献をしていることと承知しています。ですが、井上氏のお話のボローニャ大学と比較するなら、大学・病院とも不十分でしょう。しかし、大学の先生や、病院の医師や職員の方々が、市民や全国の人々の役に立つことを念頭に置いて、今後の研鑽を重ねて行けば、理想に近い大学・病院が出来ることと思います。

それにつけても、先生方には息のつけない、また骨身を削るような研究が課せられるわけですから、このような先生方には、市民の信頼感は増すことと思います。

従って、「あり方懇談会の答申」にある、原則として研究費を出さないという考え方は、市民に役立つ大学造りとは逆行することになり、また、多くの教員を任期制採用に切り替えるという答申の考えでは、市民のために真剣に研究に取り組み、学生の教育に当たろうとする教員の意欲を殺ぐことは必至でしょう。

何はともあれ、今は、市民に役立つ大学造りと附属病院造りに、大学の先生方や病院の医師および職員の方々の一層のご努力と、市民の方々の努力に期待してやみません。

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