『日本経済新聞』2013年1月30日付
奨学金返済額は所得で変動 文科省、17年度にも導入
文部科学省は大学卒業後の所得に応じて奨学金の毎年の返還額が変わる「所得連動返済型奨学金制度」を2017年度にも導入する。現在は所得水準に関係なく定額を返す方式で低所得の若い世代を中心に負担が重いとの声が出ていた。意欲ある学生が安心して勉学に打ち込める環境を整える。
新制度の検討やシステム設計の費用として13年度予算案に1億円を盛り込んだ。有識者会議を設け、具体的な制度設計を進める。
現行制度は年収が300万円を上回るまでは返済が猶予され、その後は一定額を返す。月5万4千円の無利子奨学金を4年間借りるとしたモデルケースでは、返済額は月1万4400円になる。
新制度は毎年の返済額を課税所得の1割にすることを検討。年収300万円を超えた場合の返済額は月7千~8千円で、所得が上がるにつれて増額する。返済総額は変わらない。
景気悪化の影響などで奨学金の滞納額は増加中。文科省は「新制度が導入されれば少しずつでも返済したいという人の気持ちにも応えられる」としている。