東大の入試改革、「妥当」が50% 『日本経済新聞』 2014年2月5日付

『日本経済新聞』 2014年2月5日付

東大の入試改革、「妥当」が50%

第165回 編集委員 大石格

東京大学が一芸に秀でた高校生を推薦で入学させる入試改革をどう思うか。電子版読者の50.6%が「妥当な判断だ」との回答でした。重視すべき基準では「科学・数学五輪などでの好成績」を選んだ読者が過半数を占めました。

回答からは科学分野を伸ばさないと日本の将来は危ういという読者の危機感がうかがえます。

理化学研究所の小保方晴子ユニットリーダーがSTAP細胞をつくり出したことで、リケジョ(理系女子)に注目が集まっています。

割烹(かっぽう)着姿などが話題になっていますが、ここまで大騒ぎになっているのは、科学の常識を塗り替えるかもしれない発見を工学博士になったばかりの30歳でなし遂げたという要素もあると思います。

「妥当な判断だ」とする読者のコメントです。

○グローバル化を考えれば妥当な判断(46歳、男性)

○学生の多様化は大学の活性化につながる(54歳、男性)

○海外の上位校も推薦入試をしている(47歳、女性)

推薦入試かどうかは別にしても、日本のものづくりを勢いづけることのできる何かを読者は望んでいるのでしょう。「やってみてダメならば直せばよい」(48歳、男性)というとりあえずの支持もありました。

もっとも、推薦入試を主にするという回答を選んだ読者は少数でした。米国の主要校はSATなど何度でも受けられる全米統一の学力テストで絞り込み、あとは高校の推薦状などの書きぶりで選抜するところが多いのですが、そこまでいくのはいきすぎということのようです。

推薦反対も44.4%いました。

○推薦入試には不正がつきもの(65歳、男性)

○今回の基準を満たす高校生は現状の入試で合格できる(54歳、女性)

東大が提唱したのに他大学の賛同があまり得られなかった9月入学と同じく、東大の焦りが感じられるという指摘がありました。

推薦入試の賛成派からも反対派からも「入試改革よりも、努力しないと卒業できないカリキュラムにすべきだ」という意見がたくさんあったことを紹介しておきます。

推薦の基準で圧倒的に多数だった「科学」を選んだ読者のコメントをみましょう。

○天才を拾うには理系重視でよい(53歳、男性)

○客観的な基準でないとダメだ(62歳、男性)

「その他」ではどんな基準が多かったでしょうか。

○社会に貢献するモチベーションの高い人材(44歳、男性)

○人柄が良好であること(47歳、女性)

○論理的な思考力(38歳、男性)

○コミュニケーション力(57歳、男性)

○集中力(37歳、男性)

どれも社会で活躍するのに重要な能力ではありますが、客観的に測れなさそうなものが多く、世間は納得しないような気がします。

日本の大学は国際競争の荒波を乗り切っていけるのか。否定的な意見が多数でした。

○場当たり的な改革をしている(51歳、男性)

○大学の数が多すぎる(47歳、男性)

○もっと国際化することが必要だ(54歳、女性)

 

安倍内閣の支持率は64.6%でした。前週に8.1ポイント下降した際、「特に要因は思い当たらない」と指摘しましたが、さらに3.1ポイント下げてしまいました。昨年12月に60%台が続きましたが、その頃の水準に戻ってしまった感じです。

 

 

 

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