新薬開発へ産学連携加速 製薬各社、京大と協力 『神戸新聞』 2014年2月2日付

『神戸新聞』 2014年2月2日付

新薬開発へ産学連携加速 製薬各社、京大と協力

画期的な新薬の開発を目指し、製薬各社が京都大と手を組んだり、独自の研究拠点を開設したりする動きが活発化している。製薬会社や医薬品分野の研究機関が集まる関西の地の利を生かし、新薬開発のスピードを上げる考えだ。

ノーベル賞を受賞した山中伸弥京大教授が生みの親の人工多能性幹細胞(iPS細胞)を使い、新薬を開発するプロジェクトも動きだす。

京都市左京区の京大に昨年3月に完成した「メディカルイノベーションセンター棟」。その一室で、白衣を着た田辺三菱製薬と京大の研究者が一緒になって慢性腎臓病の新薬開発に取り組む。

病気の進行を止め、腎臓の機能を回復させる新薬の開発に成功すれば、負担が大きい人工透析を受ける患者にとって朗報だ。同棟の他の部屋でも武田薬品工業、大日本住友製薬、塩野義製薬がそれぞれ京大と、がんや精神疾患などの治療薬の開発を進めている。

センターの運営や研究には京大病院の医師が関わる。田辺三菱の成田寛研究企画部長は「いつも患者に接している医師の意見を取り入れて研究を進めることができる」と話す。

関西に研究拠点を増やす企業も出てきた。大日本住友は再生医療の研究を強化するため、神戸市中央区のポートアイランドに新施設を開設する。地元に拠点を持つベンチャー企業と組み、iPS細胞を利用して目の疾患の新薬を開発する。

大日本住友の木村徹再生・細胞医薬事業推進室長は「この分野で1番手になる」と意気込む。

ロート製薬は、京都府木津川市の「けいはんな学研都市」にある「ロートリサーチビレッジ京都」に再生医療の研究施設を設けた。

新薬開発の環境整備も進む。独立行政法人の医薬品医療機器総合機構は昨年10月、大阪駅北側「うめきた」のグランフロント大阪に関西支部をオープン。医薬品承認の制度に詳しい担当者が常駐し、臨床試験が円滑に進むよう助言をしている。

ポートアイランドにはスーパーコンピューター「京」があり、塩野義は大阪府豊中市の医薬研究センターで、京を新薬開発に生かせるか検討している。

 

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