「東照宮の価値 世界へ」 静岡大と文化財調査など協力 『産経新聞』静岡版 2014年2月10日付

『産経新聞』静岡版 2014年2月10日付

「東照宮の価値 世界へ」 静岡大と文化財調査など協力

久能山東照宮(静岡市駿河区)と静岡大学は、東照宮博物館が所蔵する文化財の調査や東照宮周辺の環境保全など7項目に関する協定を締結した。

76種191点の重要文化財を筆頭に、約2200点の文化財を有する東照宮博物館には、現在3人の学芸員が勤務。だが、専門分野が古文書の解読などに偏っており、すべての文化財については歴史的な価値を評価しきれていないのが現状だ。館長を務める落合偉洲(ひでくに)宮司は「文化財はただ存在するだけでは意味がない。東照宮もキャンパスの一部として多くの方に研究していただければ」と期待を込める。

文化財の調査は同大学の人文社会科学部と情報学部、植生や自然環境の調査は理学部と農学部、防災面では防災総合センターの専門家に委嘱する予定。東照宮側は学芸員資格の取得を目指す学生の博物館実習を受け入れる方針だという。伊東幸宏学長は「東照宮は大学にとっても研究テーマの宝庫。県の宝、国の宝である東照宮の価値を世界に発信していきたい」と話した。

現時点で調査が依頼されたのは、慶長16(1611)年にスペイン国王フェリペ3世から徳川家康に贈られた「洋時計」。文字盤の下に作者とされる「ハンス・デ・エバロ」の名前が刻印されたプレートが貼り付けられているが、平成24年5月に来日した大英博物館時計部門責任者のデービッド・トンプソン氏は「プレートの下に真の作者名が刻まれている可能性が高い」と指摘していた。今後同大学の電子工学研究所(浜松市中区)で、放射線などを利用した非破壊検査が可能かどうかを検討していくという。

 

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