『河北新報』2014年1月27日付
大学入試 最後のゆとり世代危機感 来年は脱ゆとり世代参入
本格的な大学入試シーズンに突入し、高校3年の現役生が危機感を募らせている。学習指導要領改定で現役生は「最後のゆとり世代」とされ、ことしを逃すと来年は「脱ゆとり」の高2生が参入するためだ。もっとも来年の入試で現役生が不利になるかどうかは諸説があり、関係者は「情報に流されず、全力を尽くして」とエールを送る。
18、19の両日、受験シーズン幕開けを告げる大学入試センター試験が全国一斉に行われた。
仙台市青葉区の東北大川内北キャンパスで初日を終えた大崎市の女子現役生(18)は「来年から数学と理科の受験科目が複雑になる。ことしのうちに受かりたい」と疲れた表情で話した。
脱ゆとりを目指し2008年度改定された新指導要領は、今の高2生が入学した12年度に数学と理科が先行実施された。センター試験は来年、両教科が新課程対応に切り替わる。
1995年度生まれの現高3生は新課程の対象から外れ、旧課程で授業を受けてきた。経過措置で来年は旧過程の問題も用意されるが、受験生には「授業時間や教科書のボリュームが多い新課程が受験に有利では」との不安が募る。
宮城県高校教育課の担当者は「新課程と旧課程で試験の結果に差が出た場合、大学側がそれを合否判定に反映させるのかどうか現段階では分からない」とみる。
2浪以上すると、経過措置の1年が切れる。センター試験の志願者に占める浪人生の割合は、25年前の4割から現在2割に減った。それでも難関校や医学部を目指し、浪人生活を選ぶ受験生は少なくない。
一方で「出題範囲の広い新課程は問題が難しくなる。経過措置の来年に限れば、旧課程がアドバンテージになる可能性もある」(予備校関係者)との見方もある。
河合塾東北本部(仙台市)の佐々木一幸本部長は「センター試験が振るわなくても、国公立大2次試験直前の追い込みで結果は大きく異なる。今はベストを尽くすことだけを考えて机に向かってほしい」と指導する。
ことしのセンター試験最終日。青葉区の男子1浪生(19)は「有利不利は関係ない。家族に迷惑を掛けないためにも、ことしで終わらせる」と自分に言い聞かせるように話し、川内北キャンパスを後にした。