『日本経済新聞』2013年12月23日付
資産運用の収入ランク 慶応首位35億円
主要129大学の2012年度決算 株高など追い風
手元資金を有効に活用している大学は――。資金運用の自由度が高い私立大学を対象に、2012年度に金融商品への投資などで得られた収入を示す「資産運用収入」の額が大きい順にランキングしたところ、慶応義塾大が35億円と前の年度の2位から浮上した。
慶応の現在の運用資産は約980億円。資産の半分は比較的安全性の高い債券に回し、格付けが平均でダブルA程度と信用力の高い国内外の国債や社債に投資する。日本株も30億円強保有している。世界的な株高や債券価格の上昇(金利は低下)基調を追い風に運用が改善したようだ。
帝京大の運用収入も33億円で2位。日本国債や国内外の株式などに投資して利回りや配当収入を確保した。3位は日本大(25億円)、4位は早稲田大(21億円)。08年の金融危機で駒沢大学がデリバティブ(金融派生商品)で多額の損失を出した経緯もあり、ここ数年は全般に安全志向が強まっているようだ。
半面、国立大学は国債や地方債などの一部を除いて金融商品への投資が法律で禁じられている。運用で得た収入を示す損益計算書の「財務収益」が最も多い東京大で収益額は4億円、京都大が3億円弱だった。