大学の決算 国立と私立、収支構造に違い『日本経済新聞』2013年12月22日付

『日本経済新聞』2013年12月22日付

大学の決算 国立と私立、収支構造に違い

企業と同様に大学でも年度ごとに決算をまとめ、ホームページなどで公開している。国立大と私立大では収支構造が異なる点に注意が必要だ。国立大で売上高に当たるのが「経常収益」。国からの交付金が収入全体の3~4割を占め、入学金や授業料は1割程度。意外に大きいのが付属病院の収益で2~3割のケースが多い。収入から教職員の人件費などを引いたのが経常利益。資産除却損など臨時損益を加えた「当期総利益(損失)」が企業の純利益に当たる。

国立大は基本的に収支が均衡するように予算は組まれるが、コスト削減で利益が増えたり、施設の再開発で損失が出たりする。東京大学の2012年度決算をみると交付金に次いで付属病院収益が大きく安定収入源となっている。

私立大の売上高は「帰属収入」。入学金や授業料が半分以上を占める。収入から人件費などの「消費支出」を引いた「帰属収支差額」が最終的な損益を示す。私立大は学生数増減の影響を受けやすく、地方の私立大では帰属収支差額が赤字続きの例も少なくない。国立大、私立大ともに交付金や補助金が削減傾向にあり、少子化により今後、環境は一段と厳しさを増す見込み。安定収益源を確保する重要性が高まっている。

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