『読売新聞』 2013年12月10日付
就活窓口、学生向け住宅…広島大跡に知の拠点
広島市と広島大は9日、「ひろしまの『知の拠点』再生プロジェクト」として同大学本部跡地(中区、11・4ヘクタール)の未利用地(3・8ヘクタール)で公募、選定した事業計画案を発表した。
三菱地所レジデンスなど8事業者による「広島ナレッジシェアパーク」と称し、学生向けの賃貸住宅や活動支援施設、ホール、病院、分譲マンションなどを整備する。総事業費約300億円で、2018年の完成を目指す。
市によると、▽学生・留学生向け賃貸住宅(111戸)や就職・ボランティア活動支援窓口、ベンチャー支援オフィスなどの機能を持つ「ナレッジシェアファーム」▽公開講義やオープンキャンパスなども行える多目的ホール「ナレッジシェアプラザ」▽シニア向け住宅、託児施設などの「ナレッジシェアコミュニティ」▽スポーツクラブ▽脳神経疾患専門病院▽地上53階、地下1階の分譲マンション(665戸)▽カーディーラー――で構成。
区域内には、市民が自由に散策できるオープンスペースを配置し、パークに隣接する東千田公園との一体性も持たせる。
跡地を巡っては、同市と同大学が06年から人材育成や特色ある研究を行う施設の整備を掲げ、07年に事業予定者として広島市の不動産開発会社などを選定したが、同社が翌年に経営破綻し、今年6月から新たな民間事業者を公募していた。
市と同大学は12月、事業者グループと協定を結ぶ予定。
この日、広島市の松井一実市長と浅原利正学長が記者会見して事業計画を発表。浅原学長は「地域と連携し、共に発展する大学を目指しており、(今回の選定は)大変喜ばしい」と歓迎。跡地内にある東千田キャンパスに16年4月、県内の大学との共同研究や社会人教育の受け皿となる「知的人材育成センター」(仮称)をオープンする考えを明らかにした。
跡地ではこのほか、市が、無償譲渡を受けた被爆建物の広島大旧理学部1号館の建物と土地を保存活用する方針を示している。(薮上遼介)