国立大教員に年俸制 文科省、競争を導入・退職金廃止 『朝日新聞』2013年11月26日付

『朝日新聞』2013年11月26日付

国立大教員に年俸制 文科省、競争を導入・退職金廃止

【村上宣雄】国立大学の教員の給与について、文部科学省は、年功序列を改めて退職金を廃止し、業績を反映させる年俸制への転換を進める方針を決めた。「競争がなく、ぬるま湯体質だ」との批判もある国立大の組織全体の活性化を進めるのが狙いで、26日にまとめた「改革プラン」で示した。当面の目標として、理工系を中心に2015年度末までに1万人を年俸制に切り替えるとしている。

文科省はあわせて、企業からの研究資金などを年俸に組み込む「混合給与」も進める。また、教授の定年退職の際、「弟子」の准教授を無条件に昇進させるのではなく、有能な若手や外国人の登用を促す。

国立大は全国に86校あり、教員の総数は約6万3千人。文科省によると、現在も新規採用や年数を限った契約で年俸制をとるケースはあるが、全体で数千人にとどまるという。

計画では、勤続年数が長い教授らも終身雇用を維持しつつ年俸制への転換を進める。退職金を廃止する分、毎年一定額を従来の給与に上積みするが、一方で、以後の年俸は査定を反映させる。

優れた研究や教育を進めた教員は年俸が大幅にアップする一方、ほとんど論文発表がないような教員はダウンもあり得る。退職金廃止で帰属意識が薄まり、大学間の転籍が進んで全体の活性化も見込めるという。

文科省は、東京大、京都大、東北大、北海道大、名古屋大、大阪大、九州大の旧七帝大を中心に、先端的な研究に取り組む大学では特に年俸制を進め、15年度末までに20%を移行させたいとしている。

実際の雇用関係の見直しは、各国立大と教員の話し合いで決まる。教員側が拒めば現状維持もあり得るが、文科省は年俸制を積極的に導入する大学に予算を多く配分することで、取り組みを促す方針だ。

国立大の基本予算である「運営費交付金」の年間総額は、約1兆1千億円。従来は大学の規模に応じてほぼ機械的に振り分けてきたが、文科省は今後、このうち3~4割については「改革を進めている」と認定した大学にだけ重点配分する考えだ。年俸制が進まない大学は予算が減ることになり、文科省は「半強制」的に制度改変を進めることになる。

 

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