「京大ファンド」に熱視線 説明会盛況、投資先選定に懸念も『京都新聞』 2013年10月29日付

 

 

『京都新聞』 2013年10月29日付

「京大ファンド」に熱視線 説明会盛況、投資先選定に懸念も

産学協同で大学の研究成果を実用化する取り組みに対する国の出資先に京都大が決まり、出資金の活用に京都の産業界が注目している。大学と民間でつくるファンドなどを通じて出資金を投資する仕組みで、このほど開かれた説明会では高い関心が示される一方、投資先の選定などに対する懸念もみられた。

2012年度補正予算で決まった国立大学に対する国の出資事業で、京大や東京大など4大学に計1千億円が出資された。京大には292億円が投じられる。産学出資のファンドなどから、大学発ベンチャーや企業との合弁会社に出資する仕組み。今臨時国会で審議予定の国立大学法人法の改正を受け、大学がファンドなどに出資できるようになる。

京大がこのほど開いた説明会には、大学との共同事業を考える企業や出資を検討する金融機関の担当者ら約200人が出席した。

会場からは「大学にどういうシーズ(ビジネスの種)があるのか」「投資件数はどれくらいか」などの質問があり、出資を活用した事業展開への関心の高さをうかがわせた。一方、「大学の先生と以前から付き合いのある企業と、それ以外のところが平等に扱われるのか」といった声も上がった。

京大は適切な投資先の選定や、出資事業に対する統治体制づくりを進めるという。小寺秀俊京大理事・副学長は「海外に比べ、日本は研究の実用化(のスピード)が遅い。日本なりのやり方を考え、大学が生み出した成果が市場に出ることを加速させたい」と意気込む。

「ベンチャーの都」と称される京都でも、近年はベンチャー企業は出にくくなっているとされる。説明会にも出席した服部重彦京都工業会長は「京都の活性化のためにも、産業界が大学発の研究成果の実用化に応えていきたい」と話している。

 

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