『産経新聞』 2013年10月27日付
大学入試改革 職業資格試験も活用 簿記など提言へ 教育再生会議
政府の教育再生実行会議(座長・鎌田薫早稲田大総長)が議論している大学入試改革で、TOEFL(英語運用能力テスト)だけでなく簿記などの資格検定試験も学力試験と同じ扱いで大学入試に利用するよう、各大学に求めていく方向で調整が進められていることが26日、文部科学省関係者への取材で分かった。学力だけの知識偏重の入試制度を改め、能力や適性を総合的に判定する選抜方法にするのが狙い。今月末に開かれる実行会議で第4次提言としてまとめられる。
入試に利用される資格検定試験としては、簿記など職業分野の各種資格・語学検定のほか、工業高校の生徒が取得した資格や技能を点数化して評価する「ジュニアマイスター顕彰制度」などが含まれる見通し。語学系の大学ならTOEFLや実用英語技能検定(英検)、経営学部系なら簿記といったように、各大学各学部の特色に応じた試験が利用されるという。
実行会議が検討している入試改革ではこれまで、高校在学中に基礎学力を測る「達成度テスト・基礎レベル」を創設するとともに、現行の大学入試センター試験を「達成度テスト・発展レベル」として衣替えし、一体運用していく方向で調整が進められている。
資格検定試験は発展レベルのテストの代わりとしても活用されるといい、文科省関係者によると「学力水準の達成度の判定と同等に扱われる」という。どの試験を入試に利用するかは各大学の判断に任せられるが、導入した大学に国が財政支援を行うなどして、積極的な利用を促進する。
資格検定試験を大学教育に活用することについては、自民党の教育再生実行本部が今年4月、国公立大でTOEFLの成績を受験や卒業の要件とするよう求める方針を策定。これを受けて政府の教育再生実行会議でも5月、大学教育におけるTOEFLの活用を盛り込んだ第3次提言を打ち出していた。
今回の第4次提言は入試改革がテーマで、語学検定だけでなく職業分野の資格検定試験を大学入試に活用することに力点を置いた。