東北7国立大、大型放射光施設誘致 東北大「推進室」設置 『河北新報』 2013年10月25日付

『河北新報』 2013年10月25日付

東北7国立大、大型放射光施設誘致 東北大「推進室」設置

東北大は、東北の7国立大が取り組む「大型放射光施設」の誘致実現を目指し、同大電子光理学研究センター(仙台市太白区)に「東北放射光推進室」を設置した。誘致活動の実働部門として施設設計、運営方法の検討などに当たる。

推進室は室長を務めるセンターの浜広幸教授をはじめ、学内外のビーム物理学者や放射光科学研究者など十数人で構成される。

既存の放射光施設「スプリング8」(兵庫県佐用町)、「フォトンファクトリー」(茨城県つくば市)からも研究者を室員として加え、加速器システムとビームラインの設計、設置場所、運営方法などの検討を行う。

大型放射光施設は、全長数百メートルのリング型や線型の加速器で電子を光とほぼ等しい速度まで加速させ、磁場の力で電子を曲げた際に発生する放射光を利用して物質の構造を分析する装置。

材料開発や医療など科学研究の幅広い分野で利用されている。国内には大小10カ所の放射光施設があるが、東北は空白域となっている。

東北への誘致は2011年の東日本大震災直後、研究者有志が発案。12年6月には7大学の学長レベルによる「東北放射光施設推進会議」(世話幹事・入戸野修福島大学長)、さらに全国の放射光関係者も加えた専門委員会を発足させ、国に設置を働き掛けてきた。

14年度政府予算の文部科学省概算要求に放射光施設の調査費が盛りこまれたことから、推進会議の窓口や予算の受け皿となる推進室を東北大に置くことにした。

推進会議はリング型の施設新設を目指す。全長約300メートルで、リングの直径は約100メートル。炭素や酸素など「軽元素」の解析に適しているという。浜教授は「東北の復興にとどまらず日本の科学技術をリードする施設を目指す」と話す。

 

 

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