奨学金の返済 困難なら猶予の手続きを 畠中 雅子 『東京新聞』 2013年10月17日付

『東京新聞』 2013年10月17日付

【お金の話】

奨学金の返済 困難なら猶予の手続きを 畠中 雅子

今年三月に大学などを卒業した人の中にも、日本学生支援機構から、奨学金を借りたケースは多いと思います。今年三月に貸与が終了した方は、今月二十八日から返済が始まります。定職に就けないまま、社会に出た人などは、返済に窮するケースもあるでしょう。

返済が難しいのであれば、返還期限猶予の利用を検討しましょう。無職、未就職、低収入、傷病などの理由で返済が困難な場合、返済を待ってくれる制度です。

申込期限は原則として、前々月末まで。例えば今月中に手続きすれば、十二月分から返済が猶予されます。猶予の期限は原則一年。十二月から適用される場合は、来年の十一月分まで猶予されます。

来年になっても正社員としての就職が決まらない場合、あらためて申請すれば、通算五年まで猶予を利用できます。傷病などが理由の場合は、猶予の期限はありません。

口座からの振り替えが三カ月以上できないと、信用情報機関に情報が登録されるといった不利益を受けます。延滞金の加算で返済額も増えてしまいます。滞納前に猶予の手続きをすべきでしょう。

一方、これから貸与型の奨学金を借りる予定のご家庭は、返済時のマイナスポイントも親子で確認し合うことをお勧めします。例えば奨学金の返済があると、社会人になった後の貯蓄力が下がります。将来マイホームを購入しようとする際、借入可能額が引き下げられることも考えられます。返済可能額から、奨学金の返済額分を差し引かれるというわけです。

奨学金を利用しないと、大学に進学できない子どもがいるのも事実です。借りる予定のあるご家庭では、日本学生支援機構のホームページ上での返済シミュレーションは必須。

子どもが何歳から何歳まで、ひと月いくらの返済をするのかといった事実を伝えたり、理解を求めたりする必要もあるでしょう。

(ファイナンシャルプランナー)

 

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