帯畜大に1.6億円施設寄贈 カルビー相談役『十勝毎日新聞』 2013年7月11日付

『十勝毎日新聞』 2013年7月11日付

帯畜大に1.6億円施設寄贈 カルビー相談役

 カルビーの創業者一族で元会長・社長の松尾雅彦さん(72)=現相談役=が、帯広畜産大学の敷地にジャガイモの新品種開発に向けた遺伝的特性などの研究に関する温室栽培室を建設し、10月末の完成後に同大に寄贈することになった。日本に導入されたジャガイモは「男爵」や「メークイン」などの歴史的に古い品種が主流を占め続け、後継の「新たな主役」が出てこないことに、農業・食品関係者が危機感を持つ。国内最大級の産地になる十勝での研究に期待を込めた形だ。

 施設の正式名は「松尾記念温室棟」で内定。松尾氏は自己資金約1億5960万円を投じ、現在、同大の原虫病研究センター南側の空き地に建設している。鉄骨造り平屋建て、延べ435平方メートル。

 同大によると、1個人の寄付金で建設する初の大型施設という。

 松尾氏は4月、カルビーやキユーピー、ケンコーマヨネーズ、道馬鈴しょ協議会の4社・団体と共同で1億8200万円を帯畜大に寄付し、寄付講座(研究部門)「バレイショ遺伝資源開発学講座」を開設した。

 背景には、中国などでジャガイモの増産が続く中、現在主流の古い品種では加工品を中心に国内市場で輸入品に少しずつ圧迫され、国際競争に出遅れる懸念が生産者側と加工業界にある。

 寄付講座では専任の研究者が、野生種や原産地の南米アンデスの在来品種が持つ優秀な遺伝的特定を見つけ、新たな品種の育成に結び付く必要な技術などを研究している。

 温室棟は季節を問わず一年中栽培できるメリットがある。

 松尾氏は同講座開設時の会見で「いかに国際競争に勝つか(研究を)見守っていきたい」とし、帯畜大は「十勝での研究が価値のあるものと考えていただき、地域にとっては大変ありがたい」(施設課)と話している。

  

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