『読売新聞』 2013年6月21日付
原子力の将来描けぬ…7大・大学院で定員割れ
国内の主要大学・大学院にある原子力関係の3学科と9専攻のうち、2学科5専攻で今年度の入学者(4月末現在)が定員割れになっていることがわかった。
背景には、原発事故によるイメージ悪化に加え、国の原子力政策が定まらず、将来が描けない学生の原子力離れがある。人材育成が滞れば今後の原発の廃炉作業にも影響が及びかねないため、関係者は危機感を強めている。
文部科学省が入学状況を調査している、「原子」のつく学科・専攻は、大学で3学科、大学院(修士課程)で9専攻ある。読売新聞がこれらに今年度の入学者を聞いたところ、福井工業大や東海大、東京工業大、京都大など、4月末現在で7大・大学院の2学科5専攻(早稲田大は9月入学を含まず)が定員割れしていた。東京大などは定員を満たしていた。
定員割れした大学は、原発事故直後の2011年度は大学院の2専攻だけだったが、12年度は6学科・専攻に増加。2年連続で定員割れした東京工業大で指導する井頭政之教授(放射線物理学)は、「親の反対で入学直前に辞退した人もいた。逆風の中、あえて原子力を学ぶ学生が減っている」と危機感を語る。