『読売新聞』 2013年6月21日付
阪大、求む一流研究者…支度金最高8500万円
大阪大は、国際的に活躍する研究者を世界中から招くための制度を設けた。新たに研究室を構えるため、国内の大学では異例の「支度金」を最高8500万円用意し、給与も年600万円まで上乗せする。国立大の人材誘致策では破格の優遇制度で、学外から優秀な人材を獲得し、世界最高水準の大学を目指す。
対象者は、国際的に評価されている海外の研究型大学で学位を取得し、専門分野で世界的な業績を挙げている研究者。学部長らの推薦をもとに、学長らでつくる委員会が選考する。任期は設けず、終身雇用の教授として採用し、大学院生の指導や学部生の授業もしてもらう。
これらの教授には、就任初年度に、実験装置や設備、研究室スタッフの人件費などとして500万円の支度金を支給。交渉次第で8000万円まで加算する。研究者の引き抜きが盛んな米国の大学では、数千万~1億円以上を支給する例があるが、国内では珍しいという。予算は大学経費で賄うが、人数や総額は未定。
給与面では、同時に設ける「特別教授制度」を適用、阪大教授の年間給与(2011年度で平均1095万円)に、年最高600万円の特別手当をプラスする。特別手当を含めても、年収2000万円を超す米国の有名大教授クラスには及ばないが、阪大の免疫やロボットの研究などは国際的に評価が高く、海外の研究者を呼び込むことも可能とみている。
相本三郎・副学長は「世界トップレベルの大学を熟知している人に、高度な研究や教育を提供してもらう。優秀な人材が集まり、そのことで大学の研究水準がさらに高まり、国際競争力が増すという効果を期待したい」と話している。