大学分科会(第113回) 議事録 平成25年4月4日

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大学分科会(第113回) 議事録

1.日時
平成25年4月4日(木曜日)10時~12時

2.場所
文部科学省3階 3F1特別会議室

3.議題
  1.分科会長の選任等について
  2.大学分科会の運営について
  3.第2期教育振興基本計画(答申(素案))について
  4.その他

4.出席者
委員
(委員)安西祐一郎,浦野光人,大島まり,帯野久美子,北城恪太郎,高橋香代,長尾ひろみの各委員
(臨時委員)有信睦弘,井上正仁,奥野武俊,樫谷隆夫,勝悦子,北山禎介,小畑秀文,佐藤弘毅,佐藤東洋士,橘フクシマ咲江,中込三郎,菱沼典子,吉田文の各臨時委員
(専門委員)黒田壽二,白井克彦の各専門委員 

文部科学省
森口事務次官,山中文部科学審議官,田中総括審議官,合田生涯学習政策局長,板東高等教育局長,清木文教施設企画部長,常盤高等教育局審議官,山野高等教育局審議官,藤野生涯学習政策課長,浅田高等教育企画課長,池田大学振興課長,田中高等教育政策室長,森友教育改革推進室長 他

5.議事録
(1)分科会長の選任等について
 委員の互選により安西委員が分科会長に選任された。
 副分科会長については,安西分科会長から河田委員が指名された。

(2)大学分科会の会議の公開について
 事務局から,大学分科会の会議の公開について資料2の説明があり,原案のとおり決定された。
 また,公開に関する規則に基づき,この時点から会議が公開された。

(3)大学分科会の開催に当たり,安西分科会長から以下のとおり挨拶があった。
【安西分科会長】  それでは,第7期最初の大学分科会でございますので,私から一言御挨拶をさせていただければと思います。

 大学また高等教育につきましては,これまでももちろんいろいろなことが行われてきておりますけれども,特にグローバル化,情報化の進展,あるいは少子高齢化等々によって,大学の在り方,高等教育の在り方が問われている状況になっていることは皆様もよく御存じのとおりでございます。

 前期の第6期の大学分科会におきまして,待ったなしということを叫びまして,特に昨年の8月にはいわゆる質的転換答申が,この大学分科会,特に大学教育部会の御尽力もありまして,まとめられました。

 ただ,そのときに申し上げたとおり,答申が中教審で了承されたというだけでは改革をしたことには全くならないので,大学の問題というのは,答申を出しても大学が動かないというところにございまして,それを本当に動かしていくためにこの第7期があると思っておりますし,おそらく皆様も御理解いただけるのではないかと思います。

 いずれにいたしましても多くの検討課題がありまして,世界の動向,また日本の国内の地域の動向を見ましても,大学がこのままでいいのか,戦後の日本の大学のある意味終末期にあるのではないかとも思っております。また新しい大学の姿をこの大学分科会が軸となってつくり出していけますように,どうぞ御協力をお願い申し上げます。

(4)引き続き,板東高等教育局長から以下のとおり,挨拶があった。
【板東高等教育局長】  高等教育局の板東でございます。

 先生方には,年度初めの大変お忙しいときにお集まりいただきまして,ありがとうございます。また新たに新7期の委員をお引き受けいただきまして,本当に心から感謝申し上げたいと存じます。

 先ほど分科会長からもお話がございましたように,今,高等教育・大学にとって非常に重要な時期であると考えております。我が国全体にとっても今,経済再生,教育再生ということを両輪としながら,やはり社会全体の将来に向けての道筋をつけていかなくてはいけないということで,大変重要な時期になっておりますけれども,その中で大学改革ということが非常に強く求められているということを,我々も仕事をしながらひしひしと感じさせていただいているところでございます。

 大学改革につきましては,後で事務局からも御説明をさせていただきますが,昨年の6月に大学改革実行プランを策定いたしまして,それに基づいて,いろいろなテーマについて着々と進めてきているというところでございます。しかし,一層その加速強化をしていかなくてはいけないということもつくづく感じているところでございます。

 そして,安部内閣発足以降,先ほど申しましたように,経済再生,教育再生というのは内閣全体としての大きな取り組むべきテーマということで掲げて,非常にスピーディーに取組が今進められているところでございますけれども,そのどちらにも非常に今,関係する会議が活発に検討を行っておりますけれども,その中で今,産業競争力会議というところでは,経済再生のためには人材育成が非常に重要であるということで,その中で特に大学改革,それからグローバル人材育成といったようなことが重要な柱として取り上げられ,かなり具体的な御提案も委員の中からなされてきているという状況もございます。

 また,教育再生につきましては,教育再生実行会議がスタートしておりますけれども,今,いじめ,教育委員会制度と検討が進んでまいりまして,これらかいよいよ大学改革,それからグローバル人材育成について議論が始まるということになっておりまして,この4月半ば以降,大学に関しても教育再生の中でいろいろな角度からの御議論が行われるということになっております。

 そして,その次に入試改革についても議論していこう,あるいは6・3・3・4制の見直しについても議論していこうといったようなことが予定されておりますので,いずれにしても大学の問題というのは非常にそれぞれに重要なテーマとして,議論が進んでいくと考えております。

 そして,それとまさに連動しながらこの大学分科会では御議論を進めていただくことが,ますます重要になっていると思っております。大きな方向性の議論が政府全体の中で議論として出てくると思いますけれども,それを具体的に実現をしていくためにはどうしていくのかということについては,まさに中教審そして大学分科会での御検討が何よりも重要であると思っておりますし,また関係部会の御議論,例えば高大接続特別部会とか,あるいは後でお話が出てまいります教育振興基本計画部会などの議論の中でも,大学分科会の御議論の成果も連動し生かしていただくということが大変重要であると思っております。

 そういう意味で,この大学分科会,やるべき事柄がたくさんあるわけでございますし,今まで必ずしも十分できていなかった事柄としては,大学のガバナンスの問題とか,それから生涯学習に対応した学び直しの充実の問題とか,そういったことにつきましてもこの中でも御議論いただきたいと思いますし,先ほどお話し申し上げました特にグローバル人材育成とか,それからイノベーションに対応する人材育成ということで,新たな教育の,あるいは大学の在り方というのが求められているところでございますので,そういった点についてもまた積極的な御意見を賜れればと思っております。

 また,教育関係以外でも今,法曹養成検討会議では法科大学院の関係の話が出ていたり,いろいろな分野の人材育成の話というのが様々な分野の御検討の中でも出てきております。そういったこととも連携をしながら,大学・高等教育全体として重要な時期を本当に,大学関係者あるいはもっと幅広い観点の御意見を十分にいただきながら,きちんと道筋をつけていきたいと思っておりますので,よろしくお願い申し上げたいと思います。

 本日はどうもありがとうございました。

(5)事務局から,第6期大学分科会の審議状況と今後の審議体制について,資料3-1~3-5の説明があり,その後,意見交換が行われた。

【田中高等教育政策室長】  まず,前期第6期の大学分科会の審議状況について,御説明させていただきます。資料番号3-1を御覧ください。

 第6期の大学分科会では,特に大学教育の質の改善に焦点を当てて審議を重ね,昨年8月に「新たな未来を築くための大学教育の質的転換に向けて」と題する答申を取りまとめていただきました。その際,全国各地で学生や教職員が参加した大学教育改革地域フォーラムの開催や,学長・学部長に対するアンケート調査などを通じて,多くの大学関係者を巻き込んだ議論を展開いただいたところでございます。

 資料の3-1の3ページに別紙1として答申の概要をつけてございますが,3の「これからの目指すべき社会像と求められる能力」のところにございますように,これからの成熟社会に求められる力を育むためには,双方向の授業や主体的な学修といった学士課程教育の質的転換が不可欠との認識のもと,質の伴った学修時間の増加確保を始点とする改革サイクルの確立や,教員中心の授業科目の編成から組織的・体系的な教育課程への転換などの改革方策について,御提言をいただいたところでございます。

 さらに,大学教育に関する質的転換の答申以外にも,大学院教育に関しましては,別紙2として資料をつけておりますとおり,平成23年度から27年度までの5年間の重点施策を取りまとめた第2次大学院教育施策要綱を踏まえました施策の推進に当たっての諸課題について審議を行い,例えば,一貫したプログラムを持った体系的な博士課程教育の構築という観点から,博士課程前期課程を修了し,修士号を授与する要件として,修士論文のかわりとして博士論文研究基礎力審査,いわゆるQEの導入を可能とするなどの制度改正について御審議いただいたところでございます。

 また,法科大学院に関しましては,6ページの別紙3にございます法科大学院教育の質の改善を中心とした提言を取りまとめた上で,各法科大学院の教育の改善に向けた取組状況に関する調査や,法学未修者教育の充実方策に関する検討を行うなど,精力的な審議を行っていただいたところでございます。

 なお,資料3-2は,大学教育の質的転換答申の提言の対応状況を取りまとめた資料でございます。主要事項を抜粋した1枚紙にございますように,文部科学省では大学教育の質的転換をはじめといたしました大学改革への取組への支援に必要な予算を25年度予算案に盛り込んだり,日本学術会議では各大学の教育課程の編成・実施の参考となる分野別の参照基準を策定するなど,関係機関におきまして答申を受けた取組が進められているところでございます。

 次に,第7期大学分科会の主な審議事項と審議体制の案について,御説明いたします。資料3-3では,1ページから3ページにかけまして主な審議事項を8点に整理いたしますとともに,4枚目に部会等の審議体制をお示ししております。また,審議事項の関連の資料あるいはデータを資料の3-4として,部会などの設置に関わります分科会の決定案を資料の3-5として配付をさせていただいております。

 それでは,資料の3-3を御覧ください。資料の3-3が,第7期の大学分科会の審議事項の案について整理をさせていただいたものでございます。

 まず,審議事項の1点目といたしましては,「社会経済構造の変革を踏まえた大学改革の在り方」を掲げています。昨年6月に文部科学省で取りまとめました大学改革実行プランにおきましては,少子高齢化や産業・就業構造の変化などの社会状況を踏まえまして,大学の果たすべき役割・機能や大学政策の方向性などを大学ビジョンとして策定することが掲げられており,この大学ビジョンに関する審議をはじめといたしまして,大学改革の方向性について,分科会を中心に御審議をいただきたいと考えております。

 次に,審議事項の2点目は,社会経済構造の変革に伴い「求められる知識・技能の変化に対応した学修機会の充実」でございます。前期の第6期の大学分科会でも,省庁系大学校などの大学以外の教育機関の学修の単位認定などについて御審議をいただいておりますが,引き続き教育機関相互における単位認定・編入学の在り方について御検討いただきますとともに,社会人などの多様なニーズに応じた学修機会を充実するための方策についても御審議いただきたいと考えております。なお,本審議事項は第6期に引き続きまして,大学教育部会で御審議いただきたいと考えております。

 審議事項の3点目は,「大学の質保証の充実」でございまして,具体的には事前規制である設置基準等の明確化,事後評価である認証評価制度の在り方,さらに設置認可も含めました質保証に関わるシステム全体の在り方などにつきまして,大学院部会とも連携を図りながら,大学教育部会を中心に御審議いただきたいと考えております。

 2ページ目を御覧ください。審議事項の4点目は,「我が国の大学のグローバル化の促進」でございまして,具体的には,日本人学生の海外留学や外国人留学生の受け入れの在り方のほか,海外大学とのジョイント・ディグリーをはじめとした国際的な教育連携などでございます。

 なお,グローバル化に関する課題につきましては,大学教育全般の中での検討だけではなく,専門的・集中的に審議を行うことが適当と考えられますことから,新たに大学のグローバル化に関するワーキング・グループを設置して審議を行っていきたいと考えております。

 審議事項の5点目は,「大学のガバナンスの在り方」でございます。グローバル化を含めて,様々な課題に対応するためには,大学が自主的・自律的に改革に取り組むためのガバナンスの構築が不可欠であることから,大学改革を推進するためのガバナンスの在り方について審議をいただきたいというものでございます。

 その際,大学教育の質的転換などの教学面の観点に加えまして,学長のリーダーシップの確立や,学内組織の連携といった管理・運営面からもガバナンスの在り方について御審議いただきたいと考えておりまして,新たに組織運営部会を設置して審議を行っていきたいと考えております。

 審議事項の6点目は,「短期大学の機能の充実」でございまして,現状と課題を整理しながら,機能の充実や振興方策について,大学教育部会を中心に御審議をいただきたいと考えております。

 3ページを御覧ください。7点目の「大学院教育の在り方」につきましては,第2次大学院教育振興施策要綱も踏まえた充実方策などにつきまして,第6期に引き続き,大学院部会で審議をいただきたいと考えております。

 また,8点目の「法科大学院教育の改善」につきましては,法曹養成制度検討会議をはじめとした政府全体の法曹養成の在り方に関する検討状況を踏まえつつ,法科大学院特別委員会において法学未修者教育の充実などについて御審議いただきたいと考えております。

 なお,認証評価につきましては,これまで13の認証評価機関が大学分科会で御審議いただいた上で文部科学大臣の認証を受けておりますが,今後新たに認証の申請があった場合には,分科会の審議に先立ち,専門的な調査・審議を行うための審査委員会を設けまして審議を行いたいと考えております。

 ただいま申し上げましたことを組織図として整理をさせていただきましたものが,資料3-3の4ページでございます。

 以上,資料3に基づき,審議事項を中心に,審議体制についても触れながら御説明をさせていただきましたが,資料3-5は,審議体制という観点から各部会等の審議事項を簡潔に記載・整理したものでございまして,本日の分科会で決定くださりましたら,今後,各部会等を速やかに設置していきたいと考えております。

 第6期の審議状況と第7期の審議事項,審議体制の説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。

【安西分科会長】  何か御質問等ありますでしょうか。なかなか内容は豊富でありますけれども,よろしいでしょうか。
 4ページにありますとおり,部会等の設置につきましてもよろしいでしょうか。
 それでは,部会等の設置につきましては,そこにありますように,大学教育部会,大学院部会,組織運営部会,大学のグローバル化に関するワーキング・グループ,法科大学院特別委員会,認証評価機関の認証に関する審査委員会を置くということでよろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【安西分科会長】  ありがとうございました。
 各委員の部会等への分属につきましては,中教審の審議会令第6条第2項によりまして,分科会長が指名するということになっているということであります。私に一任させていただいてよろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【安西分科会長】  それでは,そのようにさせていただきます。

(6)事務局から,大学改革を巡る状況等について,資料4-1~4-3の説明があり,その後,意見交換が行われた。

【浅田高等教育企画課長】  高等教育企画課長の浅田でございます。
 それでは私から,大学改革に関する最近の動向について,資料4-1から4-3により御説明させていただきます。

 まず,資料4-1を御覧ください。文部科学省では昨年6月に,大学改革の課題と方向性,実現に向けての工程を大学改革実行プランとして取りまとめました。その冊子は委員の皆様の机上にも御用意させていただいております。なお,御参考までに,その3ページに大学改革実行プランの全体像を取りまとめております。

 この大学改革実行プランは,副題に「社会の変革のエンジンとなる大学づくり」とあるように,先を見通すことの難しい時代にあって,また国内外に様々な課題を抱える中で,「地(知)の拠点」たる大学が国民・社会の期待に応え,社会を変革するエンジンとしての役割を果たしていけるように,大学の機能の再構築とそのための大学ガバナンスの充実・強化について,施策を整理したものであります。

 資料4-1が,その主な内容について進捗状況を簡単に整理したものです。

 まず○1の大学教育の質的転換につきましては,昨年8月に中央教育審議会からいただいた大学教育の質的転換に関する答申を受けて,先ほども話がありましたが,各地で大学教育改革地域フォーラムなどを開催してきました。また,今年度の予算案においても,こういったことに積極的に取り組む大学に対する重点的な支援を行うこととしております。

 大学入試改革については,昨年の9月から中央教育審議会に高大接続特別部会を設けていただき,御議論いただいているところです。また今後,教育再生実行会議でもテーマになることが見込まれております。

 ○1のグローバル化に対応した人材育成につきましては,昨年度から始めておりますグローバルな舞台に積極的に挑戦できる若者を育成するための大学教育の体制整備を行うグローバル人材育成推進事業,あるいは大学の国際化のためのネットワーク形成推進事業,これはグローバル30と呼ばれているものですが,さらには双方向の留学生交流など,関連の施策の充実に努めているところです。

 ○3の地域再生の核となる大学づくりというのは,大学が社会に対して果たすべき機能の一つとして重視したいと考えておりまして,平成25年度の予算案で新たに「地(知)の拠点整備事業」,そこにCOCとありますのは,センター・オブ・コミュニティの略ですけれども,こういった事業も始めるべく必要な予算を計上しております。

 ○4の研究力強化,世界的な研究成果とイノベーションの創出に関しては,世界トップレベル研究拠点プログラム,大規模学術フロンティア促進事業など,大学の研究力の強化のための支援や,イノベーションの創出に向けた産学官連携を推進しているところです。

 裏の面になりますが,○5の国立大学改革については,全国立大学の学部のミッションの再定義に向けて,昨年度からまず工学,医学,教員養成の3分野について着手しているところです。今年度はこれを更に本格的に進め,それを踏まえて国立大学改革プランを策定する予定でございます。

 ○6の大学改革を促すシステム・基盤整備としては,各認証評価機関等において評価の改善のための取組が進むとともに,国公私立大学を通じた情報公表の共通枠組みである大学ポートレート,仮称でございますが,その平成26年度のスタートに向けて検討準備を進めております。

 ○7の財政基盤の確立とめりはりある資金配分に関しては,平成25年度予算案において,例えば,改革に組織的に取り組む私立大学に対して,経常費,設備費,施設費を一体として重点的に支援する私立大学改革等総合支援事業を新たに設けるなどしているところであります。

 最後に○8の大学の質保証の徹底推進に関しては,この後でも御紹介しますが,大学の設置認可の在り方の見直しや設置後のいわゆるアフターケア,認証評価も含めたトータルの質保証の充実を図っております。

 なお,資料の2枚目以降により詳しい対応状況を記載しておりますので,適宜御参照いただければ幸いです。

 次に,資料4-2を御覧ください。大学の設置認可に関しましては,昨年11月に大学設置認可の在り方の見直しに関する検討会を設け,幅広い観点から見直しの方向性について御議論いただきました。その成果を資料4-2のようにおまとめいただきまして,本年の2月4日に浦野座長から下村文部科学大臣に御報告いただいたところです。

 内容は大きく三つに整理されております。第1に,「運用の改善などにより早期の実施が期待される事項」。これは例えば学生確保等に係る審査基準の明確化や審査体制の充実などですけれども,これらについては早速,今年度の審査から適用することとしています。

 第2に,「速やかな具体化に向けた検討が期待される事項」ですが,これらは検討会報告の方向性を踏まえて,中央教育審議会や大学設置・学校法人審議会において具体化に向けての検討をお願いし,その結論を得て速やかに実施に移したいと考えているものです。大きなものとしては,審査スケジュールの見直しなども含まれます。

 第3に,「大学の質の向上のため,設置認可の見直しと併せて継続的に改善,充実を図っていくべき事項」についても御指摘いただき,これらを含めて大学の質を保証する全体的な仕組みの確立が重要であると御提言をいただいています。このことを重く受けとめて,トータルシステムとしての施策の充実を図っていきたいと考えております。

 次に,資料4-3でございます。4-3は,安倍新政権で新たに政府に設けられた教育再生実行会議と産業競争力会議に関する資料でございます。

 まず,教育再生実行会議は1月24日に第1回会議が開催され,本日夕刻に第5回という予定でございます。既にいじめの問題等への対応についての第1次提言を提出し,現在は教育委員会制度についての議論がなされておりますけれども,その次には,したがって間もなくということですが,大学改革とグローバル化への対応についての議論が始まる見込みであります。その状況もまた随時,本分科会にも御報告させていただきます。

 次に,産業競争力会議でありますが,これは全国務大臣を構成員とする日本経済再生本部のもとに設置されたもので,重点テーマの中に人材力強化,あるいは科学技術イノベーションなど高等教育に関わる内容も含まれております。特に人材力強化につきましては,教育の中でも大学に関する内容が中心となっております。

 資料の4枚目以降は,3月15日の産業競争力会議で下村文部科学大臣から「人材力強化のための教育戦略」と題して御発表いただいた資料です。同会議で議論されている事項を中心に,成長戦略における大学の役割と,大学を核とした産業競争力プランについてまとめております。

 資料4-3の4枚目の裏の上,スライドの右下に小さい通しページで2とあるものが,大学を核とした産業競争力強化プランであります。御覧いただきますとおり,柱としては大きく四つです。「グローバル人材の育成」,「大学発のイノベーション創出」,「社会との接続・連携強化,学び直しの促進」,「「大学力」の基盤強化」について,目指すべき方向性などを示しております。後ろに関係する資料やデータも添付されておりますので,御参照ください。

 なお,付言しますと,産業競争力会議での議論を踏まえて,4月2日の日本経済再生本部において,本部長である安倍総理から文部科学大臣に対して二つ御指示がございました。一つは,意欲と能力に富む全ての学生に留学の機会を与える環境整備を進めること。二つ目に,国立大学の運営費交付金の戦略的配分,年俸制の抜本的導入など人事給与システムの改革,大学での外国人教員の採用拡大を軸とした具体的な改革パッケージを取りまとめたといったことであります。

 この産業競争力会議では,今月も再度,人材力強化についての議論が行われる予定です。この会議では,今後政府として策定する予定の成長戦略への反映を念頭に置いておりますので,特に産業競争力の強化,あるいは国際展開という視点からの議論が中心となっているところであります。

 なお,資料はございませんけれども,このほかに,経済再生担当大臣のもとで開催されている若者・女性活躍推進フォーラムというのもございます。ここでも,大学等における社会人の学び直し,大学生の就職活動時期の見直しなどが話題に上っているところであります。

 以上,大学等に関する最近の主な動向について,御紹介をさせていただきました。 

(7)事務局から,第2期教育振興基本計画(答申(素案))について,資料5-1~5-4の説明があり,その後,意見交換が行われた。

【安西分科会長】 それでは次に,第2期の教育振興基本計画答申素案について,御審議をいただければと思います。第2期教育振興基本計画につきましては,総会のもとに設置されております教育振興基本計画部会でもって中心的に審議が重ねられてきておりまして,この分科会でもその都度報告はいただいて,御意見もいただいてまいりました。3月18日に第25回の基本計画部会が開催されまして,これまでの議論を踏まえた答申素案について審議が行われております。また並行して,今,説明がありましたような政府の諸会議も動いている,こういう状況にございます。

 教育振興基本計画は,今年度から5年間の初等中等教育も含めた教育振興の基本計画の案でございますけれども,改めてここで御審議をいただければと思います。

【森友教育改革推進室長】  資料の5-1を御覧いただきたいと思います。これまでの経過を簡単にまとめているものでございますが,第1期の教育振興基本計画につきまして,先ほどございましたが,24年度までの計画期間ということで,第2期の内容について,一昨年の6月に諮問がなされたところでございます。

 内容につきましては,教育振興基本計画部会を中心として御審議を賜ってきたところでございます。その間,震災を受けて,策定上留意すべき課題,そしてその年の末には大きな基本的な考え方についておまとめいただきまして,裏面にまいりますが,昨年の8月には中間的なまとめとしての審議経過報告を整理していただいたところでございます。

 その中では,大きな教育行政の今後の方向性として四つ,そこに書き記しておりますが,社会を生き抜く力の養成等々について整理をしていただき,それを実現するための施策につきまして体系的に整理をしていただいたところでございます。

 そして,その後,パブリックコメント,あるいは関係団体からのヒアリング,そして大学分科会をはじめといたしまして各分科会におけます御意見を賜りまして,そして,今年の1月には下村大臣から「審議経過報告の内容につきまして,こういった点についてはもう少し充実した内容と記述ぶりとしてほしい」といったお願いがございました。その内容は特に初等中等教育関係が多うございますが,例えば教育委員会の抜本的な見直しですとか学力テストの関係,さらには高校段階での学力の学習の到達度を把握する仕組み,そしてその仕組みを活用した大学入試の在り方などについても研究をしてほしいといったことでございました。

 そういった諸所の点を含めまして,審議経過報告に修正をいたしましたものとして,お手元にございます資料5-3の答申の素案ということで,事務局案として,先日の3月18日の教育振興基本計画部会で御議論を賜ったところでございます。

 今後ですが,昨日は初等中等教育分科会でも御意見を賜りまして,本日の大学分科会での御意見なども含めまして,計画部会を開催をさせていただき,その上で答申の運びということを考えているところでございます。

 それでは,簡単に,特に審議経過報告からの変更点を中心として,内容について御説明申し上げたいと思います。資料5-3のまず各論でございますが,56ページをお開きいただきたいと思います。こちらの56ページ,そしてまたその次の58ページには,学生の主体的な学びの確立に向けた大学教育の質的転換ということで,教学マネジメントですとか,あるいはスタッフ,教員の教育力の向上等について記述をしておりますが,いずれも基本的には審議経過報告の内容と同趣旨のことを記述しているところでございます。

 また,60ページをお開きいただきますと,先ほど申し上げました大学入試の関係ですが,10-2と書いております高大接続における点からプロセスによる質保証システムへの転換ということで,この記述自体は審議経過報告にも記載をしておったところでございますが,特に,下から4行目のところで,高等学校段階での学習到達度テストの結果の入試における活用なども含めて,大学入試制度の在り方の見直しについて検討を進めることを追加しているものでございます。

 また,68ページを御覧いただきますと,こちらは特にキャリア教育関係の施策を整理しているところでございますが,一番下の13-5として,社会人の学び直しの機会の充実ということ,この点につきましては記載が必ずしも十分でございませんでしたので,項目を書き起こして,下へ掲載しているところでございます。

 それから74ページに飛びますと,こちら,四つの基本的方向性に基づく方策の未来の飛躍人材に関わる内容の中にございます,大学院の機能強化等に関わる部分でございますが,特に15-3のところで,先ほどの予算の関係の内容にもございましたが,イノベーション創出に向けた産学官連携の推進ということで,センター・オブ・イノベーションの構築の推進といった記述を追記しております。

 また,76ページですが,こちらグローバル化の取組ということで,外国語教育の強化ですとか留学生交流,双方向の交流も含めた促進などについて記述をしておりますが,特に16-3の国際化のための取組への支援の中で,国際通用性の高い教育組織を備えて,国際競争力を有する拠点大学を形成するための重点的な支援を行うといった記述を充実しているところでございます。

 また,92ページにまいりますと,こちらコミュニティの関係の方向性の部分でございます。こちらも審議経過報告の中で,92ページの21-1でございますが,地域社会の中核となる高等教育機関の推進ということで,COC構想についての記述をもともと記載しておりましたが,これについて更に内容を充実しているところでございます。

 そして,大学のガバナンス,あるいは機能別分化などに関わる内容,さらには,財政支援などが102ページ以降に記述がございますが,これらにつきましては基本的に審議経過報告の内容と同様の趣旨のことを記述しているところでございます。

 総論に戻っていただきます。30ページをお開きいただきたいと思いますが,特に教育投資の関係の記述につきまして,審議経過報告の中では今後議論をしていくという記述にとどまっていたわけでございますけれども,昨年の10月から11月にかけまして,計画部会,また大学分科会,各分科会におきましても,教育投資,どういうところにより重点を置いて投資をしていくべきかということにつきまして,御議論賜りました。その御議論を踏まえまして,答申素案の中で教育投資についての記述を設けているところでございます。

 30ページの最初の部分では,教育投資の意義ということで,これもある意味当たり前ですが,教育の効果は単に個人的に帰属するものではなくて,広く社会全体に還元されるべきものであって,必要な教育投資については,学習した本人のみならず社会全体で確保するといったこと。

 それから,丸の三つ目ですが,教育投資には,公財政支出,家計による負担や様々な形での寄附などの私費による負担に加え,ボランティアなどの人的貢献,企業の教育面におけるCSR活動など,民間団体等の自発的取組などが含まれ,社会全体で教育を支える環境を醸成することにより,これら全体の充実を図ることが求められるといったことをうたっております。

 それから,その下のところでは,第1期計画策定以降の教育投資の状況ということで,第1期の際には,大きな目標として,OECD諸国など諸外国における公財政支出など教育投資の状況を参考の一つとしつつ,必要な予算について投資を確保していくことが必要であるといった記述を設けておりましたが,これにつきまして,今の状況を見てみますと,丸の三つ目ですが,依然としてGDP比で見ますと,かなり開きがある。もちろん一人頭とか,ほかにも指標があるわけでございますけれども,そういったことにも留意が必要だということについては,31ページのところで付言をしているところでございます。

 さらに31ページの中ごろからは,各学校段階ごとの投資の重点を書き分けております。就学前,義務教育,そして高校とありまして,33ページの下から高等教育段階についての記述がございます。例えば33ページの下の方には,主要先進国と比べて我が国の公財政支出は低い水準となっており,家計の教育費負担の重さが課題となっている。家庭の経済状況が子供たちの進学に影響を与えている状況等々について記述いたしまして,教育費負担の重さが子供を育てることへの不安の主な要因になっているとの報告もあって,少子化対策の観点からもこの点が重要な課題だということを重ねて記載しております。

 また,その下では,グローバル化が進む知の時代において,課題探求能力の育成に向けた大学教育の質的転換が課題となっていることですとか,めりはりある資源配分,ガバナンスの機能強化等を図りつつ,学生の主体的な学びの確立に向けた環境整備を行う必要があること,さらには,産業界等のニーズを踏まえた実践的な職業教育を受けやすい環境整備を図る必要があるといったことについても,方向性として記述をしているところでございます。

 そして,この項目のまとめといたしまして,次の35ページでございますが,一番上の丸では,こちら全ての学校段階を通じまして,3点について重点化を図っていくことが必要ではないかということで記載しております。

 一つ目には,協働型・双方向型学習など質の高い教育を可能とする環境の構築。二つ目は,家計における教育費負担の軽減。最後に,安全・安心な教育研究環境の構築ということで,耐震化などについての内容を記載しております。

 最後の取りまとめとして,その下の二つ目の丸の下の方ですが,教育の再生は最優先の政策課題の一つであって,欧米主要国を上回る質の高い教育の実現を図ることが求められており,上述した教育の姿の実現に向けて恒久的な財源を確保し,OECD諸国並みの公財政支出を行うことを目指しつつ,第2部において掲げる成果目標の達成や基本施策の実施に必要な予算について財源を措置し,教育投資を確保していくことが必要であるということで,大きな方向性を記載しているところでございます。

 先日の計画部会におきましては,この素案につきまして御審議賜った際,特に高等教育に関わる部分の御意見といたしまして,学生が勉強に集中できるよう,就職時期をずらすべき,そういったことについての記述も充実してほしいということですとか,社会人の学び直しについてもっと記述を充実してほしい,社会人が大学院などで学んで知識を得ることは産業界にとって非常に重要である,高等教育は国際的な競争を勝ち抜くというポジティブなリターンとなり得る投資であるといった御意見ですとか,さらには,グローバル化の中で勝ち抜くためにも経済界とのリンケージが必要といった,もろもろの御意見をいただいているところでございます。

 振興計画については,御説明は以上です。

【浅田高等教育企画課長】  少し補足させていただきます。答申素案について御議論いただくに当たっての参考として,資料5-4を用意させていただきました。

 この答申素案では,今の説明にもあったように,大学分科会で御議論いただいてきた高等教育に関する内容も幅広く盛り込まれておりますけれども,現時点では,例えば次のような点が論点として考えられるのではないかというものを幾つか挙げさせていただきました。

 一つには,新たに示されました教育投資の在り方の記述についてです。答申素案の30ページから35ページでありますが,この部分については,大学分科会としては,特に高等教育への教育投資の必要性,方向性,あるいは高等教育の教育投資を考える上で特に重視すべき視点などについて御意見をいただければと思っております。

 二つ目に,本分科会でのこれまでの御議論,あるいは高等教育をめぐる最近の動向などから,現時点で記述の追加,強調等が考えられるのではないかという事項についてであります。

 先ほども御紹介させていただきましたけれども,産業競争力会議では,主に産業競争力の強化と大学の機能という観点から,グローバル人材の育成,大学の国際化,理工系人材の育成・活用など,社会の人材育成ニーズと教育との関係なども議論に上っております。

 また,社会人の学習ニーズへの対応,学び直しにつきましては,産業競争力会議に加えて,若者・女性活躍推進フォーラムでも取り上げられるなど,関心・期待が強いところであります。

 それから,就職活動時期の見直しについては,昨年8月の中央教育審議会の答申でも,大学での学びの充実という観点から御提言いただいたところですけれども,その後も文部科学省内で検討を進めておりますし,若者・女性活躍推進フォーラムでも取り上げていただいて,関係者の問題意識が高まっていると感じております。

 また,この問題やインターンシップの拡大,あるいは社会人が大学等で学べる環境づくりといった観点も含めて,社会・産業界からの協力支援も大変重要な点であると思います。

 さらに,ICTの教育への活用も急速に進んでおります。例えばウェブサイトで世界に向けた発信を行う大規模公開オンライン講座の広がりなども注目されているところであります。

 以上はあくまでも御参考として挙げさせていただいたものでありますが,貴重な機会ですので,これらの視点や事項も含めて幅広い御意見をいただいて,よりよい答申,よりよい教育振興基本計画にしていければと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

【安西分科会長】  今,第2期教育振興基本計画答申素案等々について御説明をいただきまして,その前に大学改革をめぐる状況と改革実行プラン,それから教育再生実行会議,産業競争力会議等々,大学の問題が随分取り上げられるようになってきておりますけれども,いろいろ御説明をいただきました。全て含めて,御意見,御質問いただければと思います。

 特に振興基本計画につきましては,ここで御意見をいただいて,その後,次回以降の大学分科会で御意見をいただく機会がないようであります。ただ,新任のメンバーの方にはここで意見を欲しい,それでおしまいというのはどうかとも思うので,できれば数日でも1週間でも,事務局へ別途意見を出させていただくルートをつくっていただくことは可能でしょうか。

【田中高等教育政策室長】  別途,教育基本計画特別部会の関係もございますので,今週中に御意見をいただきますれば,そこに反映をさせていただければと思います。よろしくお願いします。

【安西分科会長】  ちょうど年度変わりのところでありますので,日程については御理解いただければと思いますが,きょうのきょうで,ここで意見を出さなかったらおしまいというのはどうかと思いますので,ぎりぎりのところですけれども,御理解いただいて,御意見あれば,是非いただければと思います。よろしいでしょうか。

【白井委員】  もう時間がないというから言ってもしようがないというわけでもないのですが,今御説明いただいた中で特に第2期教育振興基本計画について,とりわけ教育投資の在り方というところをかなり追記していただいたということは,随分進歩したと評価できるのではないかと思います。

 ただ,全体通して,これは今後の議論の中で問題にしていただきたいのですが,例の高等教育に関して公財政支出がGDP比でいって0.5パーセントであること,これはOECD諸国の中でも最低だという言い方を一つのシンボリックにやってきていると思います。その数値は別にそれで正しいのかもしれないのですが,この中には全体を1個の数字で言わなくてはならないから,いろいろな要素が入って,0.5パーセントであっても,それは少ないということは事実ですが,では,その少ない中でもそれがどのように配分されているのかということは非常に大きい問題で,教育投資とここにも書いてありますが,実際にここに出てくる数値は研究に関する経費も含んでいます。その金額は必ずしも小さくないです。だから,純粋に大学教育の,大学というか,高等教育の部分に使われていると勘定できる部分の割合は,もっと低いという事実です。

 ですから,とりわけ私学関係者はいつも言い続けているのですが,やはり配分の問題があるのです。もう少しそこのところを見直す必要もあります。全体にこれを1パーセントにしてほしいというのは我々のもちろん共通した願いですけれども,いきなりそうすることはできないとすれば,どのようにこれを評価して,配分していくのかということの考え方についても,是非この場でも議論していただきたい。

 それから,税制改正については大変進めていただいたと思います。2年間,特に税額控除の制度が入りました。それについては私はフォローしていないのですが,数値によってどういう効果が現実にあらわれているかというようなこともここで十分勉強する必要があります。見ればわかることですけれども,それがどういうところに現実に寄付が入っているのかというようなことも含めて分析をして,今後税制改正の中でどういうことを要求していくか検討する必要があります。

 それからもう一つは,先ほど研究と教育の部分が必ずしも分けていないからよくわからないので,実際は研究に相当な費用が行っているということは事実です。これ行っては悪いということを言っているわけではないのですが,教育の充実ということを盛んに議論している。ですが,それは国費からいうと,あまり使われていないという事実があります。

 ですから,研究部分に関して言うと,やはり研究投資というのは相当費用がかかるというのは事実ですから,これにかけなければしようがないのですが,これについて国費がなかなか入れられないとするならば,産業界がどのようにここのところを協力してやっていくのかということです。既に政策の中でも産学連携というのをもっと強めるための様々な方法というのが出てきているけれども,産業界にももう少しここのところはよく理解していただいて,どういう具合に大学と組んで,特に研究大学が組んでやっていけるのか。そこのところの考え方ももう1回,更に追求して,この乏しい予算をどのように配分していけば,本当の教育の充実に少しでも回すことができるのかということの議論をやはりここでもやっていただきたいと思います。

【板東高等教育局長】  先ほどいろいろと御指摘いただいた点は,教育振興基本計画の御議論としてもあるかと思いますし,先ほど少し申し上げましたこれから大学ビジョンというものを考えていきましょうというときに,また今御指摘いただいたようなポイントも含めて,御議論いただければありがたいと思っております。

【有信委員】  それでは,全体的な観点で,教育振興基本計画については,非常に多岐にわたって隅々まで配慮されていると思います。

 ただ,これをどう具体化していくかということが非常に重要なわけで,例えば今回の大学分科会においても,四つのそれぞれの部会等々が設置をされています。その中で具体的に議論が進められると思いますが,前期のときにも申し上げましたけども,例えば質保証ということを取り上げても,どういう観点で質保証をやるか,これは当然グローバルな視点でやらなければいけないということでありまして,そうすると,グローバル化のところは,単に英語教育をやったり,英語プログラムを充実させればいいという問題ではなくて,国際的に同等な教育プログラムがきちんとできているかということを考えなければいけない。

 それからもう一つは,質保証の中で非常に重要なことは,研究力強化ということとも絡みますけれども,今の大学の学部・学科の制度が実は問題になっていると思います。学部・学科の枠を超えてという話がありますが,実際には,例えばリーディング大学院のような,ある意味理想的なプロジェクトを走らせていても,これは実際には学位プログラムを確立するということが図られていますけれども,学位プログラムが学位を出す基本的なバックグラウンドがない。これはいわば設置認可の考え方の問題に絡んでおりまして,そこの部分でもきちんと検討しなければいけないという話になりますし,大学のガバナンスということにも深く関わる話になります。

 つまり,学長がプログラムに対して学位を授与できるということが明確に規定されていれば,こういうことは起こらないのですが,実際には大学の中で学位を出すのは研究科であったり専攻だったりするわけです。こういう状況が実はあまりよく見えていなくて,何か具体的にやりだすと壁になって立ちはだかってきて,その壁の根拠は何かいうと,法律だったりということになります。

 したがって,個別個別に理想的な議論をやると同時に,もう少し俯瞰(ふかん)的にこれらが相互に関係し合っているということを,一つは大学分科会の中できちんと議論する必要があると思いますし,もう一つは,個別個別の分科会等での議論の中で,やはり事務局がそういうところにある程度配慮していただくということが必要であると思いますので,是非よろしくお願いしたいと思います。

【フクシマ委員】  私は本日が初めてですので,多分十分に以前御審議いただいたことの繰り返しになってしまうのではないかという危惧はあるのですが,2点申し上げたいと思います。

 一つは,有信委員がお触れになられたところです。私も今回資料をたくさんいただいて,ずっと目を通させていただいたのですが,それぞれには非常に深掘りをなさられて,いい方向性にこれだけ進んでいるということはうれしく思いました。

 人材のグローバル化については,私は人材のビジネスを通して,他国に比べて10年以上遅れているということに大変危惧を持っていまして,大学に関しても同じ危惧を持っていましたので,そういう意味では大きく進んでいるというのは大変すばらしいと思いました。しかし,1点目は,それぞれは一生懸命深掘りを違った観点からされているのですが,最終的にどこに行くかという目標が見えていないという印象がありました。

 それは,一つには,ビジョンをこれから設定するということなので,そのビジョンが決まれば見えてくるのではないかと思いますが,今の日本に必要なビジョンというのは,日本人的なDNA,非常に重要な「日本人のよさ」というものを持ちながらも,グローバルに競争力のある人材をどうやって国が一体となって育てていくかということではないかと思っています。

 そのためにどういう大学教育があり,どういう中等教育がありということで落としていかないと,どうもこの全体の議論が,国内の議論とグローバル人材育成を別のトピックとして扱っている印象があります。グローバルに人材を育成するというのは,たくさんある教育の目的の中の一つにしているのですが,私は今,世界の状況を考えて,「日本の教育即グローバル人材育成」であり,もう分けて考える時代ではないと思っています。

 世界はどんどん動いていて,中国であれ,韓国であれ,インドネシアであれ,各国は自分の国から,シンガポールが非常にいい例ですけれども,グローバルに活躍できる人をどう育てるかという視点から育成をしている中で,日本はまだまだグローバル人材育成というのは特殊な領域で,そこを一つ取り出して,「ではグローバル人材を育てましょう」,と言っているような印象があります。

 今回のこのプログラムの中にグローバル人材育成の方法は織り込まれているので,そういうグローバルに競争力のある人材を育てようとのビジョンを定めれば,どういうことをすべきかというのは全部この中に入っています。重要なのは,グローバル人材育成というビジョンに方向性を定めて動かしていくことだと思います。今さらこの基本計画にそれをこの時点で申し上げても,明日が締め切りですので無理だとは思うのですが,今後それを是非議論させていただければというのが1点です。

 2点目は,留学生の数等々はかなり具体的な目標値が何年までにという工程表としてあるのですが,それ以外は,ぼんやりとしていることです。やはり一つ一つのビジョンを設定した後,やるべき施策というものを,明確に何年までに何をどうするという時間軸をきちんと設定をして工程表をつくらないと,いつまでも話で終わってしまう。今はもう話をしている段階ではないと思っています。

 それに対しては企業もきっと努力をしなければいけないということだと思います。企業がここ二,三年で外国籍人材であったり留学生であったりを「採用します」というメッセージを出し始めた途端に,先日,ベネッセの調査でもありましたけれども,親御さんたちが6割ぐらいが海外留学をさせようと思っていると答えています。そういう意味では就職に有利というと家庭は反応しますので,企業もメッセージを出す必要があります。それによって日本人の留学生も増え,外国から来る留学生も増えということで,接点ができてくると思うのです。

 グローバル人材育成は家庭から始める必要があります。これは以前もお話しをして,実は安西分科会長にも一度お越しいただいたのですが,ベネッセが教育教材を提供している上海に幼稚園がありまして,3歳から8歳まで全寮制で,アメリカ人の先生もいて,教育をしています。

 そこでは,まさに私が「二つのジリツ(自律,自立)」と言っている,自律,自立と協働というのをこんな小さいころから学んでいる。土日は自宅に帰り,一応家庭教育もあるわけですけれども,集団の中で大変自律,自立した育ち方をしていることです。私が一番びっくりしたのは,トイレに全世界から集めた20種類の蛇口があって,これだけダイバーシティがあるということを小さい子に教えている。それから,全部小さい子が自分で自分の着る物等々をきちんと片づけて,自律,自立した生活をしている。

 三つ目にびっくりしたのは,その子供がお菓子を持ってきてくれて,私が「一緒に食べないの?」と言ったら,「私はホストですから食べません」と言うのです。3歳の子供がです。もちろん中国ですのでプロパガンダもあるとは思うのですが,ただ,そういったような教育を受けた子供と,日本のように親御さんが就職試験までついていくような環境で育った子供が同じ職場に入ったときに,どうなるのだろうと思うと,大変危機感を持っています。「外柔内剛」に日本のよさというものは持ちながら,したたかに世界で戦える人材を育成するということが日本のこれからの重要なビジョンになるのではないかと思っています。

 以上です。

【安西分科会長】  有信委員,またフクシマ委員の言われたことは,私個人的にはもっともだと思っております。特に,質保証もグローバルで考えなければいけませんし,また,これから全国津々浦々の若い人たちがグローバルの波にさらされることはもう間違いないことですので,それに対応した教育へ転換していかなければいけないと私としては考えているところでございます。

 幼稚園の件は,フクシマ委員に御紹介いただきまして,上海の郊外にあります,日本読みではソウケイレイ,宋慶齢幼稚園という幼稚園がございまして,そこの見学をしたことがあります。今,フクシマ委員の言われたとおりで,中国のモデル幼稚園になっているところであります。

【中込委員】  教育振興基本計画の中の文章上の問題を少し取り上げてみたいと思いますが,私が発言すれば大体,ああ,専修学校,専門学校のことかと思われると思うのですが,中の文章が,専修学校と専門学校と非常に混在をしておりまして,どこがどうなのかというのがなかなかわかりづらいということがございます。

 つまり,専修学校にも幾つか分類がございまして,専門課程,高等課程,一般課程,一般課程というのはどちらかというと,簡単にいえば予備校というのが含まれるということもございますので,その辺の区分けの言葉の使い方をひとつよろしくお願いいたしたいと思います。

 それから,92ページのCOC構想でございますが,これは専門学校も実はやっているわけでございまして,何かこの文章を読みますと,専門学校はそういうことはやる必要ないというように受け取れるのですが,これはどうなのでしょうか。COCは,これは専門学校もきちんとやっておりまして,いろいろなところで地域を対象な活動をしているわけなのですが,そういうことは必要性はゼロと教育振興基本計画でしてしまうのかどうか。

 現実に私どもの美術学校も,ろうあ学校の実は手話は世界中でいろいろなところで地域によって違います。そういうことを,目は見えるから,正直なところを言いまして,手話を少し子供らにやらせようということでずっと12年間,海外との交流を続けてきていますが,1円も支援はいただいたことはございません,残念ながら。

 さらに,ここでは支援は要らないと書かれますと,何をしてきたのかというぐあいに考えてしまいますので,そういう学校群もあるということを御理解いただいて,是非ともこの中に高等専門学校,さらに専門学校の小さな4文字ぐらいでございますから,入れていただければと思います。

 それから,グローバル化,英語の問題もあるかと思いますが,実は正直なところを言いまして,私事で恐縮でございますが,私の息子もイギリスに約8年間留学しておりまして,最初,高等学校を出てから行ったものですから,2年間ぐらいは胃が溶ける思いで,血が出る思いの英語で朝晩やったそうでございます。そういうことを考えますと,早いうちからやはり語学力も含めた,先ほどの幼稚園の話ではありませんが,国際的な視野に取り組めるようなスタンスを持った子供たちの育成が必要かと思いますので,是非とも推進をしていただきたいと思います。以上でございます。

【安西分科会長】  専門学校,専修学校についてはもう一度見ていただけると私もいいのではないかと思います。よろしくお願いします。

【樫谷委員】  教育投資と教育の公的負担の問題で,これから大学改革をしなくてはいけないということで,教育の質の向上をして,その保証もしないといけない。グローバル人材も育てなければいけないとか,たくさん課題があるわけです。そうすると,教育の仕方というのでしょうか,これが今までと違ってくるのではないかと思います。

 何を言いたいかといいますと,おそらくコスト構造が相当違ってくるだろうと思います。つまりコストアップ要因になるということです。そうすると,授業料の在り方も含めて,少し考えないといけないのと思います。

 つまり,今までの授業料とかコスト構造で議論してしまうと,教育の質,グローバル人材,いろいろな経験をさせろという課題がたくさんある中で,今のコスト構造でできるのかどうかということも,どこかで研究しなければいけないのではないかと思いましたので,この中に入れることは難しいかもわかりませんが,もし今言っているようなことを全部やったら,どれぐらいコストがかかるのか,それが授業料としてどのぐらい負担できるのか,どれぐらい公的負担が必要であるということも含めて,少し議論する必要があるのではないかと感じましたので,そのような発言をさせていただきました。

【安西分科会長】  教育投資につきましては,思い出してみますと,私も参加しておりましたが第1期のときに相当,入れるかどうかの議論がありまして,なかなか第1期のときの計画には入らなかったのです。今回こういう形で入ってくるようになっておりますので,是非御意見をいただければと思います。

【帯野委員】  質問と意見なのですが,第2期教育基本計画の中のグローバル人材の育成のところで少し気になる言葉があります。「リーダーを育成する教育プログラムの増加」,この「リーダー」という言葉なのですが,そもそも56パーセントが大学に進学する時代に,大学がリーダーを育成するところなのかという議論もあったかと思うのですが,特にグローバルということになると,かなり限定的で,国際的な場で交渉のできるというのが,求められる人材像があったと思うのですが,そうしますと,これはもう一部の大学,限定した大学に期待をするのかというところであります。それが是か非かということではなくて,それならそれで明確に打ち出す必要があるのではないかと思います。

 といいますのは,783の大学に国際的な場で通用するリーダーを求めるということになると,末端の大学においては混乱が生じるのではないでしょうか。企業でいいますと,役員会はわかっていても,抽象的な言葉で下ろすと,現場が混乱してしまう。これは既に今まで十分議論されたことだとは聞いておりますが,できればもう少し議論をして,例えば競争的資金を下ろすときに,世界に通用する人材というのがリーダーの条件であるのか,あるいは世界観を持った,国際観を持った人材の育成であるのか,一言でリーダーというだけではなくて,もう少し多様な人材像をあぶり出して,それを打ち出すようなことができれば,現場に混乱も生じないし,あるいは全ての大学にやる気,挑戦心が起こせるのではないでしょうか。

【安西分科会長】  グローバル人材の中身,それからリーダーの中身,特にグローバル人材ということは何を指しているのかということについては,なかなかしっかりしたコンセンサスまで行っていない状況がありまして,グローバル社会の中で生きていく人材のことなのか,それともグローバルリーダーのことなのかということ,私は前者がかなり入っていると捉えておりますけれども,そのあたりのところは教育振興基本計画ではやはり大事なことになっていくと思いますので,文部科学省側もよろしくお願い申し上げます。

【北山委員】  私は引き続きの委員なので,第7期に期が変わったということで,先ほど冒頭に審議事項,部会を設けて云々とありましたけれども,企業人ですので,企業の立場からの希望なのですけれども,ここに書いてあるような検討項目,審議項目というのは,大体答えがもう見えている話で,いろいろな形で大学改革実行プランにも書いてあると思います。

 それで,7期というのは2年というレンジがあるのですけれども,おそらく企業だったら3か月あれば全部プランができて,すぐ実行に移せるというようなことだと思うのです。審議をまた年数かけて答申をつくって,それが今度,閣議にかけるものはかけて,それで国会で云々というと,また1年とか2年とかすごく時間がかかってしまうので,答えはもうほとんど見えているので,とにかく早く実行に移せるような形で,予算の問題もありますけれども,やっていくべきです。大学改革実行プランも前3月期に発表されて,着手できるものはしていく。

 25,26年度,つまり今年度,新年度と来年度が実行していく期であり,27,28,29年度がPDCAのCとAのところになります。そうなると,この7期の位置付けというのはかなり加速化してやっていく必要があると思うので,何か月もかけて答申をつくるというのは,希望としては,うんと加速化していただきたいと思います。以上です。

【安西分科会長】  全く同感でございます。是非その点はお願いします。もうこうやっているだけで遅れをとっていると思います。

【佐藤(弘)委員】  私は教育振興基本計画に絡みまして,少し奇抜な視点かもしれませんけど,申し上げてみたいと思います。

 第2期教育振興基本計画そのものにつきましては,大変慎重に部会で検討されて,いろいろ進んでおりますので,これについてではなくて,地方はどうしているのかという,そういう発想です。

 御案内のように,改正教育基本法で,国は基本計画を義務付けられ,地方公共団体においてもそれは努力義務とされているわけで,一体それがどの程度進んでいるのか,私が不勉強で見えていないのか,それともあまりはかばかしくないのか,その辺が少し気になるところでございます。

 と申しますのは,大学の社会的な役割として,教育,研究に次いで第3の役割として社会貢献が言われており,心からそうありたいと大学は思っているわけです。それに対しまして,大学改革実行プランの主要事項の中でも地域再生の核となる大学づくりということを挙げられておりまして,これは大変結構なことだと思っております。

 地方の疲弊が叫ばれて随分になります。とりわけ地方の中小都市まで展開しております中小規模の大学あるいは短期大学,これを活用しない手はないと思います。ただ,国の施策だけで本当に必要なところまで手が届くのかどうかということについては若干心配でございます。直接的な受益者とも言えます地方はどう考えているのか。とりわけ都道府県が教育振興基本計画の中でこの高等教育をどう活用しようとするのか,この辺のことが少し見えれば,我々としても動きやすいと思っているところでございます。

 いずれかの機会に事務局から,地方の基本計画に関する進捗状況などを教えていただければありがたいと思っております。

【安西分科会長】  この点はよろしいでしょうか。

【浅田高等教育企画課長】  はい。そのように準備させていただきます。

【藤野生涯学習政策課長】  第1期の,今御指摘いただきましたように,教育基本法の中で,地方も国の振興基本計画を参酌しながらつくってくれというようなことが努力義務としてあるわけでございます。

 第1期のときの地方の策定状況でございますが,都道府県と指定都市については基本的に参酌した形での計画をつくったということでございます。一方,市町村につきましては,手元に数字はありませんが,半分ぐらいが基本計画をつくったというような状況でございます。

 また,第2期につきましても,各都道府県の指定都市あるいは市町村も検討しているところが多いかと思いますけれども,これが答申が出て,閣議決定が出た段階で,やはりこれも地方にもPRして,この趣旨ということをきちんとと伝えていく必要があると考えております。

【板東高等教育局長】  今,佐藤委員が御指摘のように,なかなか高等教育のところというのは,地方の計画の中でも必ずしも十分でないところがあるというのは正直思っておりますので,その観点からも我々で整理させていただき,その地域にある国公私立大学を含めて全体の大学をどう振興していくのかという観点は心がけて調べてみたいと思っています。

【佐藤(弘)委員】  ありがとうございます。どうぞよろしくお願いします。

【安西分科会長】  大変大事な点だと思いますので,よろしくお願いいたします。

【黒田委員】  この第2期の教育振興基本計画というのは,今回初めて教育投資のことを書かれて,本当にありがたいと思います。

 私,この中で気になるのは,今の社会の変化に大学がついていけないから,早く改革しようということはよく書かれているのですが,大学本来の使命,そのことが書かれていない。これは当然のことなので,もう当たり前だと思っておられるのだろうと思うのですけれども,このまま行きますと,日本の基礎研究というのがどんどん衰退してしまうような気がします。

 研究に対して大きな投資をするということはわかるのですけど,それも出口の研究に対して大きな投資がされていて,基礎研究,社会と無縁の研究がたくさんあるわけですがそれを維持しなければ,最終的には応用研究のところへ行かないわけですが,それを支えるのが私は大学の使命だろうと思うのです。そのことを少し書いていただくとありがたいと思います。

 当然にして,グローバル社会に対応する大学の改革というのは必要です。これはやっていかなくてはなりません。進学率がもう50パーセントになり,大学を出た人たちの90パーセント以上は産業界に入るわけですから,そういう人たちをどう育てるかというのは非常に重要なのですけれども,それとあわせて基礎研究の分野も重要です。

 いつも違和感を感じるのは,理工としてまとめている点です。理学と工学が一緒の舞台の上に乗っているのですが,実際は研究の中身は全く違うのです。理学は本当の基礎研究で,社会の無縁の研究をやっているような方が非常に多い。社会とは関係ない,個人としての研究の方が多いようですが,工学の分野になりますと,これは出口で社会に使われてそれが生かされる。国民のというか,人類の福祉あるいは幸福につながるものが生まれて,初めて工学の分野は生かされるということです。

 先般,うちの大学の名誉教授ですけれども,工学分野で賞をいただきましたけれども,ああいったことは50年かかります。50年検証されて,あれ以上のモデルが世界的に生まれないということが確証されて初めて賞が出て,それが実用化されて今,セルラーフォンというシステムができ上がっているわけですけれども,ああいうモデルというのはそれだけ時間をかけて検証されていくということなので,長い時間がかかるものなのです。

 ですから,そういう意味で,その基礎のところをあんまり無視して,グローバルだ,国際化だということだけをやっていますと,大学の使命というのが疎かになってしまうような気がしますので,本当に基礎となるもの,それを外さずに,きちんと組み込みながら,現代社会に対応する大学の在り方というのを書いていただければありがたいと思っています。以上です。

【菱沼委員】  私も,教育投資という言葉がきちんと書かれて,お金のことが出てきたのはとてもうれしく思っております。

 それで一つ,意見を申し上げたいのは,結局,お金がないと,なかなか大学は実際問題動くことはできない。特に私立大学は学生の学費が主財源ですので,その中で人件費をとり,そして教育教材経費をとりしましたときに,いろいろな改革をしていくだけの余力が必ずしもないわけでございます。一方,学生は,国公立大学との学費の比較をいたしますと,今,3月が終わったところで最後の国立大学の発表が終わった後に入学者のメンバーが変わっていくという経験をまた今年もしたところでございますけれども,そういうときの競争力というのが,国公立と私立というのはそこでもう前提が違っている。このことを修正するような予算の配分を是非ともお願いしたい。学生個人個人,家庭での支出の割合というのをどうしても修正していかないと,日本の大学全体の競争力や質の向上というのは難しいのではないのかということが1点でございます。

 もう一つ,アクティブ・ラーニングとかグローバル人材育成というのが,おそらく全ての大学の共通した目的,目標になっていく。それぞれの学問分野の教育とは別に,基本的な能力をアクティブ・ラーニングで学んでいく,それから,先ほどリーダーなのか,グローバル社会の中で生き抜くのかという御議論がございましたけれども,本当に座っていてもグローバルになってきている社会の中で生き抜いていく人材になっていくためにも,講義形式によらない,自分で学びとっていくという基本的な力をつけていくためにアクティブ・ラーニングが盛んに言われておりますけれども,それをやっていくためにもまた投資が必要になってきております。アクティブ・ラーニングが全ての大学,高等教育機関でできるような施策を是非お願いしたい。そういうことが書き込まれるというか,今後の審議の中で検討していただければと思います。

【北城委員】  まず,教育振興基本計画に関しては,特に高等教育に関する部分についてはいろいろ書き込んでいただいていると思うのですが,大きな方針で大学改革はこういうことをしなければいけないということは常に言われているのですが,しかし,それを実行するのは各大学であって,大学が出された方針に基づいて迅速に実行できる体制をどうつくるかというと,結局,大学の運営の在り方であり,大学ガバナンスの機能強化だと思います。

 そういう意味では,101ページ,基本施策の26に「大学におけるガバナンスの機能強化」と書いていただいていることは的確だと思うのですが,何をどう強化するかという方針は,これから組織運営についての部会をつくって議論するので,まだ書き込めていないのかもしれないのですけれども,せめて101ページの下の方の現状と課題の一番下の丸のところに「学長のリーダーシップを支える体制強化」云々書いてあって,「未だ課題が残るとの指摘もあり」,いまだ課題が残る中で一番大きいのは教授会との関係なので,せめて,「など」に入っているとか組織運営に入っていると読むのかもしれないですけど,一番難しいのは,学長がリーダーシップを発揮しようとしたときに,教授会の承認がなければ学長が決めても大学の組織運営が進まないということが問題なので,ここで書いたからその後の審議にどう影響するかということではないのですが,書けるなら,「など」よりも「教授会との関係」という言葉を入れておいていただいた方がいいのではないかというのが1点目です。

 それから,「てにをは」になるのですが,101ページ,102ページあたりでよく「意思決定」という言葉が出るのですが,この「意思」の「思」というのは思う方の「意思」を書くのでしょうか。それとも「志」を書くのか。我々だといつも志を決めようというのですけど,これでもいいのかもしれないですけど,「意思決定」という言葉について確認したい。

 それから,全体に関して言うことなのですが,この第7期の大学分科会の中で組織運営部会をつくられるのですが,先ほど北山委員がおっしゃったスピードのことですけれども,政府で日本経済再生本部とか教育再生実行本部で次々と議論が出るときに,大学分科会の組織運営部会が長々と議論していたのでは非常にそごが出るので,少なくとも1年以内に結論を出すぐらいのスピードでやっていただく必要があるのではないかということなので,ともかく教育再生実行本部で議論が終わって,我々がまだまだ議論はしていないということにならないように,我々もスピードを早めて迅速に運営していただきたい。特に組織運営部会はです。

 それから,この組織運営部会の運営に当たっては,国内事情だけではなくて,我々の大学がグローバルに競争できる社会をつくるためには,大学もグローバルに競争できる組織運営体制なのかということを考えると,文部科学省もいろいろ調べていらっしゃるとは思うのですが,グローバルで我々が競争の対象としている大学の組織運営はどうなっているかというのを事前に調べておいて議論に使っていただければ,迅速に決定ができると思います。

 それから,振興基本計画にも関係するのですが,意思決定ということが書かれているのですが,決めることと,決めたとおり現場が動く組織運営の在り方ということで,要は現場が動くようなことまでも組織運営部会で検討していただきたいと思います。決めても,教授が「いや,やりたくない」と言って実行しなくても,評価も変わらないし,昇給も何も変わらないということでは,大体人間は上が決めても自分の処遇に何も変わらないというときは,それに従わない人も出るということもあるので,そういう意味で,決めることと,それが現場に徹底するというようなことまで審議をしていただきたいということです。以上です。

【安西分科会長】  いろいろ具体的なことも出ておりますけれども,事務局側は是非よろしくお願いします。

【北城委員】  今度は時間かけてもいいのではないかと思うことですが,これは白井委員とか菱沼委員がおっしゃっている国立大学と私学との資金配分に関係することですが,国の資金をどう配分することが最も効果的に日本の教育とか研究に貢献するかという,その基本理念みたいなことは,これは時間をかけてもゆっくり検討していただければと思います。

【大島委員】  私も今期からの委員となります。具体的な話であり,資料5-4の主な論点に関連した意見になるかと思います。特に2で,これまでの論点及び最近の動向からという点で,まず社会人学習ニーズへの対応とインターンシップの機会の充実及び就職活動時期の見直しに関連して2点ほど申し上げたいことがあります。

 1点目は,日本の高等教育,特に大学院は非常に均一です。多くの学生が大学を卒業して,22歳から大体28歳,30歳という年齢層です。グローバル化人材ということも叫ばれていますが,実際に日本人の中でも,そして大学院の中でも年齢層が非常に均一化しています。そのような中で,社会人の学習ニーズへの対応を充実させ,社会人の方が再び大学院に来て,一緒に社会経験の無い学生と勉強するということは双方にとって非常に有効なことだと思うのです。

 その観点から,機能強化するということは非常に大事なのではないかと思っています。そして,具体的にするというのはやはり産業界との連携というのが必要だと思います。グローバル化人材の育成とともに,そういう均一的な年齢層に対応するということは必要かと思っています。

 2点目は,インターンシップの機会の充実と就職活動の時期の見直しとも関連しています。最近,大学及び大学院において,学生は就職が目的化しているという状況になっています。例えば,インターンシップのもともとの目的は,社会での実経験を得るものでした。しかし,企業に就職するための手段の一つになっているために,夏休みになると,多くの学生がインターンシップをしないといけないというような危機感に駆られてしまっているように感じます。そのために春休みぐらい,新学期始まってからすぐもうインターンシップを探し始めるような事態です。

 就職活動が前倒しになっているために,夏以降は就職活動が始まり,例えば修士学生ですと,2年間のうち1年間はほぼ就職活動を行っているというような状況です。そういう中で,質保証というのは非常に大事ですが,質保証をする前に,そしてその質を形成することができる前に就職活動をせざるを得ないという実情もあるということが今の現状です。

 大学が質の保証をするということとシステム改革をするということは非常に大事ですが,就職という出口での境界条件がもう決まっている中でいろいろ変えるのは,現段階で限界が出ているというのも実情だと思うのです。したがって,高等教育だけを切り出すのではなくて,産業界とともにシステム改革という形で変えていくことが,具体的に話を進めていくうえで,大事になると思います。このような答申案が出てきた段階で産業界ときちんとそのシステムをどうやって構築するかということを話し合うというか,お互いにきちんと構築しようとする場というのも今後設けていただくことが必要になっているのではないかと思います。以上です。

【安西分科会長】  それぞれ大変貴重な御意見をいただいておりまして,是非事務局側で対応していただければと思います。よろしくお願いします。

【勝委員】  今,大島委員が言われたこと,まさにそのとおりだと思っておりまして,私もこの教育振興基本計画を読みまして,それぞれ,先ほど有信委員が言われたように,隅々まで配慮された非常にすばらしいものだと思うのですけれども,産業界との連携というところの部分がやはり抜けているだろうと思います。

 北城委員が言われたように,大学改革にはガバナンスが重要だと思うのですけれども,大学と企業との連携,特に出口部分をどう考えていくかということが,ある意味,大学の教育自体に大きな影響を与えるということがあるのではないかと思います。

 欧米の大学と比べて,日本の学部教育というのは実は質的には非常に高いと思っていまして,例えば米国の大学ですと,リベラルアーツを多く4年間勉強するわけですが,日本の大学は3年生からかなり専門性が高いことを勉強する。ただ,その時間の制約といいますか,これまでは例えば5年前ぐらいまでは3年生は1年間ずっと勉強できたのですけれども,最近では10月,11月頃になるともう学生がそわそわしだして,講義にも出られないというような状況が続いている。そうすると,やはりこれはシステムとして考えていくべきことではないか。

 つまり,これは産業界と大学とお互いにリスペクトしながらそのシステムを考える。その中では就職活動時期の見直しというのもありますし,もう一つ,この中で書いていないことがあるとすれば,企業側も採用のときに学修成果を評価する,これがあると,これは学生の勉学への規律付けという意味では非常に重要な部分になってきますし,これが大学の教育の質を大きく変えていくものになるだろうと考えます。

 それと関連付けて考えれば,昨年,主体的な学びの確立に向けた大学教育の質的転換ということで,教育改革地域フォーラムというのを何回かやったかと思うのですが,そこでは様々なステークホルダーが出席されて議論が非常に深まった。これはやはり社会的な問題であるわけで,そういった場というものも是非また作っていただきたいと思います。

 それからもう一つ,先ほど御指摘があった,例えばグローバルリーダーの育成ということを全ての大学がやらなくてはならないのかという質問とも関連するのですが,大学の機能分化,ここの部分も非常に重要かと思うのですが,ここについてはあまり目に見える形で進んでいないようにも見えるのですが,大学ポートレートというものが仮称としてあるわけですけれども,教育情報の開示というのは今,ルールが決まって進んでいるわけですけれども,こちらの機能強化に関わる大学ポートレートというものがどういう時間軸で進んできているのかということも少し詳しくお聞きできればと思います。以上です。

【安西分科会長】  大学ポートレートの進行状況というのはどういう状況ですか。

【浅田高等教育企画課長】  先ほども少し触れさせていただきましたように,大学ポートレートにつきましては平成26年度中に始められるように検討しております。かつ,国公私立大学,できるだけ全ての大学の参加を得られるようにと考えて,現在,検討準備を進めているところであります。

【小畑委員】  これまでの各委員とはダブらない点だけ,1点だけ,簡単な話なのですが,いただいた資料を丹念に読んできょう臨もうと思っていたのですけど,申し訳ございません,一部しか目を通していないので,私,見落としていることがあったらおわびしたいと思うのですが,これは特に大学院の教育改革に強く結びつく限定された話かもしれませんが,男女共同参画についての記述が私が見た範囲では見当たらない。

 少子高齢化という言葉は随所に出てきますので,それへの対策の一つの手としても男女共同参画というのは非常に重要ですので,これは初等中等教育の部分ではこういう問題は特に今さら声を上げる必要はないのかもしれませんが,大学・大学院においては,これからも非常に強く取り組まなければいけない案件だと思いますので,その点の記述がもし可能ならば是非お願いしたいと思います。

【高橋委員】  私も第7期委員として初めて参加させていただきました。3月までは国立大学で,そしてこの4月からは私立大学で教員養成を担当している者ですが,委員の先生方から,大学改革のスピードの遅さと,取組の不十分さを御指摘されて,我々国立大学法人化以降とても頑張ってきたと,大学の内部の人間は思っているにもかかわらず,外部ではそのような御意見なのだということが痛感させられました。

 そこで申し上げたいのは,私,教育学部長もしていたのですが,一挙に大学内部の人材を換えることはできないのです。その中で教育,研究を進展させていかなくてはならない。こういう悩みは非常に大きいので,教育投資や制度の問題を整理して是非検討をしていただきたいということが1点です。

 それと,そのためには大学のガバナンスの機能強化でございますが,学長がリーダーシップをとったらいいというわけではなくて,どういうビジョンを持って具体化するかという能力を学長自身に養成することも必要だと思います。教授会の責任もありますけど,最近の教授会はそれほど力はありません。大学自身が自らビジョンを持ち,そして大学改革の在り方が,指示待ち人間にならないように,自分の大学,自分の学部の改革を推進できるように,それが,例えばここの大学分科会で御指示されたことだとしても,自分の大学に合わなければ,地域に合わなければ,それはとらないけれども,自分の特色は出していく,そういうことを運用で認めていただけるように考えていただけたらと思いました。以上です。

【吉田委員】  2点申し上げたいと思います。1点目は教育投資のことですが,教育投資の問題がここできちんと書かれたということは,多くの委員も言っておられたとおり,大変望ましいことだと思うのですが,教育投資のためのお金を引き出すのは財務省から引き出さなくてはならないという状況の中で,一体どういう論理構成をするとお金が引き出せるのかということについて,どのように考えていらっしゃるか伺いたというのが一つです。

 大体今までは世界の中で日本の教育費支出が非常に低いということを根拠にして,したがって,もっと教育投資が必要だという形で教育投資の必要性の論理構成されていたわけですけれども,昨年か一昨年か,記憶がちょっと曖昧ですけど,財務省の主計官が書かれた何本かの論文の中には,もう教育人口そのものがこれだけ減っているのであるから,今までの教育費で十分やっていけるということをきちんとデータでもって出されているというのがあったと思うのです。御存じだと思います。

 ああいうのを見せられてしまうと,数字で見ればこうなると納得してしまう人の方が非常に多いと思うのです。したがって,ああいうものが出てきたときに,文部科学省としては,あれでは非常にまやかしの数字であって,見せかけであって,それではだめだということをどうやって見せられていくかというところについて,もっと,考えていらっしゃるとは思うのですけれども,お考えがあったら伺いたいというのが1点です。

 それともう一つ,これもずっと議論になっておりますグローバル化人材の問題ですけれども,何もグローバル化人材というのはいわゆる大学新卒者である必要はないと思うのです。むしろ,一たん社会に出て働いている人が,いかにそういうような人間にならないとこれから生きていけないかということを感じているような人たちを,いかにグローバル化していくかということの重要性は大きいと思うのですけれども,いわゆるそれは大学にとってみれば,社会人の学び直しの問題と絡んでくると思うのです。

 社会人の学び直しというのは90年代ぐらいから様々に制度化されていますけど,日本の大学及び大学院,特に大学院は全然増えてこない。専門職大学院制度もつくられましたけれども,あれも頭打ちの状況にある。一体それは何なのかということについて,やはりきちんと検討すべき必要があろうと思うのです。

 単に社会人の学習も必要だということだけではなく,なぜそれを必要だと思って大学に戻ってくる社会人が少ないのかという状況があるということです。それは大学のカリキュラムがきちんとそれに対応したものでないという問題もあるのかもしれませんし,あるいは大学で学び直したとしても,それが社会で正当に評価されないという仕組みもあるのだと思うのです。

 その辺の仕組みの問題を考えないと,グローバル化人材といっても,あるいは社会人の再学習といっても,お題目に終わってしまうのではないかということが非常に危惧されます。したがいまして,そのあたりについてもう少し,今後話が進んでいくと思うのですけれども,突っ込んだ議論がなされるということが望ましいと思っております。以上です。

【奥野委員】  感想だけで,この場でこういうことを述べるのがいいのかどうか,私もよくわからないのですが,初めて来て,重ならないところでお話ししますと,高等教育,大学のところ,あるいは出口,生涯的に学ぶ,ここはよいのですが,高校から大学への接続というページがあるわけですけど,そこがずっと,いつも気になるのですが,高校の教育というのは,理念的なことはわかるけれども,実際には都会ではほとんど塾とか予備校というものの存在というのを大学は忘れることはできないのです。ところが,気になるのは,そういうことについて目をつぶっているかのような記述に気になっています。いつもそう思っています。そこだけ少し御指摘したいと思いました。

【安西分科会長】  それぞれコメントしたいことも私も随分あるのでありますが,時間の関係で遠慮させていただきますけれども,事務局側は是非捉えていただければと思います。

【長尾委員】  一言だけ。グローバル人材というのは前回からもずっと議論されていて,皆さんその解釈をどうするかという根本的なところの,そこまで行く段階に今来ていると思うので,本当にスピードを上げて取り組まないといけないと思います。また,先ほど教育投資の話も出ましたけれども,今の補助金というのは送り出す方にどんどんお金を投資していっています。すごくスピーディーなアクションが必要ではないでしょうか。今度,明治の時代の新政府がやったように,外国から有能な教員を呼んでくる,そういうところに大きな補助金を出していただくことによって,海外に行ける学生はいいのですが,行けない学生もいます。具体的な策,計画というものを出していっていただけないかと思います。

【安西分科会長】  時間の関係で,だんだん手短になってきてまことに申し訳ありませんけれども,そろそろにさせていただければと思います。基本的には教育振興基本計画の答申素案に是非反映をしていただきたい。事務局として,誠意を持って応えていただければと思いますので,よろしくお願い申し上げます。

 特に,私はスピード感,それについては以前から申し上げているとおりで,大変気になっております。また,私学あるいは短大,専門学校,専修学校,あるいは応用研究の問題等々,どうしても周辺に置かれがちなところも,これはグローバル化の大波にさらわれる点では全く同じでございまして,そういう意味でも,教育振興基本計画がグローバル化の大波に日本全部が洗われている時代にどういう方針を出していくのか,また具体的な策としてどういうことをやっていけるのかということは,これからの時代に最も大事なことの一つだと思っております。是非よろしくお願い申し上げます。

 それでは,ほかに特によろしいでしょうか。ありがとうございました。先ほど申し上げましたように気がつかれたことがありましたら,是非文部科学省へ寄せていただきたいと思います。それでよろしいですか。

【田中高等教育政策室長】  はい。本日いただいた御意見につきましては,振興基本計画の答申案に反映を検討させていただきたいと思います。具体的には,いつも御連絡をしております高等教育政策室に御意見等ございましたらいただければ,検討させていただきたいと思いますので,どうぞよろしくお願いいたします。

(8)事務局から,平成25年度高等教育関係予算,税制改正の状況について,資料6の説明があり,その後,意見交換が行われた。

【浅田高等教育企画課長】  資料6はまず平成24年度の補正予算でございます。復興・防災対策,それから成長による富の創出,暮らしの安心・地域活性化ということで,高等教育局関係で4,000億円強が盛り込まれているところです。

 2枚目以降が平成25年度の予算案でございます。これはまだ国会で審議中でございます。例年どおり,奨学金,それから大学の授業料減免,国立大学の運営費交付金と私立大学・私立高等学校への助成,それから高等専門学校,また国公私立を通じたグローバルも含めていろいろな面での大学教育改革の支援のための経費,医学関係の経費,そして留学生交流や大学の国際化のための経費等,総額で1兆8,000億円弱を計上しているところであります。

 最後のページでございますが,これは税制改正として新しく設けられるものでして,教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置の創設であります。既に報道されておりますけれども,祖父母が子・孫に対して教育資金を一括して拠出して,それについて,一人について1,500万円を非課税とするというものでございます。報道によれば,既に信託銀行等が新商品の投入に動いているという話もございますが,いずれにしても子供たちの教育の充実と,さらに願わくば家族の幸せにつながるといいと思っているところでございます。以上でございます。

【安西分科会長】  それでは,御多忙のところ,大変貴重な御意見をいただきましてありがとうございました。ここまでにさせていただきます。

―― 了 ――

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高等教育局高等教育企画課高等教育政策室

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