大学に眠る技術発掘 文科省、事業化目標を2倍に『日本経済新聞』2013年5月27日付

『日本経済新聞』2013年5月27日付

大学に眠る技術発掘 文科省、事業化目標を2倍に

 文部科学省は大学に眠る次世代技術の発掘事業を拡充する。研究者らの起業を支援する「事業プロモーター」に野村ホールディングス(HD)など4社を新たに選んだ。事業化の目標件数を現在の1.5~2倍に増やす。大学発のイノベーションモデルを構築し、新産業や新市場創出につなげる。

 野村HDのほか、医療・バイオ分野のベンチャーキャピタルであるウォーターベイン・パートナーズ(東京・世田谷)やファストトラックイニシアティブ(東京・文京)、360アイピージャパン(東京・中央)を新たに事業プロモーターに選出。従来の7社から11社になった。

 事業プロモーターは全国の大学を対象に、再生医療や環境・エネルギー、ナノテクノロジーなどの各分野から技術シーズを評価し、事業化を目指す有望技術を決める。1事業プロモーターで2~6件程度の事業化技術を選ぶ。

 研究者や起業家のほか、法律家らとともに「事業化専門チーム」を作り、事業目標や行程表を策定する。文科省が1事業プロモーターあたり1.5億~1.8億円を拠出する。国内だけでなく海外市場への投入をにらみ特許など知的財産権戦略も練る。産業革新機構などからの投資も呼び込む考え。

 大学の研究成果を新事業につなげるため、経済産業省は約10年前に「大学発ベンチャー1000社計画」を立ち上げた。文科省の調査によると、設立数は2011年度までの累計で2143社に上るが、年間の設立数は11年度で69社とピークだった05年度(252社)の3割にとどまる。また、多くの大学発ベンチャーが収益をあげることができず、米国のように新産業に育っていない。

 文科省は市場性をにらみながら大学に眠る有望技術の開発支援とチームによる事業育成を一体的に進め、世界市場を狙うベンチャー企業を輩出していく。

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