奨学金返済へ連携 「悩む人の会」始動『沖縄タイムス』2013年5月27日付

『沖縄タイムス』2013年5月27日付

奨学金返済へ連携 「悩む人の会」始動 

 「奨学金返済に悩む人の会」の設立報告会が26日、那覇市NPO活動支援センターで開かれた。病気や非正規雇用による低収入などで返済が滞っている当事者らが初めて集まり、現状や解決策を話し合った。6月下旬に県内外の国会議員らと協力し、最長5年の返還猶予期限を無期限にすることや、年利最大10%の延滞金を無くすよう国に求めていくことを決めた。(與那覇里子)

 参加したのは日本学生支援機構(旧・日本育英会)の奨学金返済に困っている人やその親ら。

 那覇市の40代の女性は、大学卒業後就職したが体調を崩し、支払いが滞った。172万円を借りたが延滞金が加わり、返済額は約500万円にふくれあがっている。家族にも話せずにいるが最近、17歳の息子が大学進学を機に奨学金を借りたいと言ってきた。「勉強はしてほしいが、同じ思いをしてほしくない」と苦しい胸の内を吐露した。

 別の男性(27)は専門学校卒業後、精神疾患と診断され、生活保護を受けている。「借りた270万円を返すのは難しい。生活も厳しく、返済に手が回らない」と訴えた。

 奨学金問題に取り組む「沖縄なかまユニオン」メンバーで沖縄国際大非常勤教員の西岡信之さんは当事者約250人から相談を受けた経験がある。いったん支払った延滞金で元本をまかなうことができたケースなどを紹介した。

 「悩む人の会」は今後、非正規雇用の拡大などで返済が滞っている当事者らの声を集め、本格的に制度改善に取り組む。比嘉勝子代表は「奨学金問題の解決に向けて連携しよう」と呼び掛けた。

[ことば]

 日本学生支援機構の奨学金 同機構は2004年の小泉政権時代に独立法人化、文部科学省が所管する。奨学金は無利子と、最大年利3%の有利子があり、それぞれ月3万円から貸与できる。消費者金融のように貸金業法の規制を受けない。景気の悪化などで期限を過ぎた未返済額は11年度、過去最高の約876億円、滞納者は全国で33万1千人に上る。同機構の調査では、延滞者の83%が年収300万円未満だった。同機構は延滞金の金利を5%程度に引き下げる方針を決めた一方、長期滞納者の回収強化に乗り出している。

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