財源確保など課題 国の関与に現場の抵抗も 『日本経済新聞』2013年5月23日付

『日本経済新聞』2013年5月23日付

財源確保など課題 国の関与に現場の抵抗も

 教育再生実行会議の鎌田薫座長は22日の記者会見で「(素案は)大学を中心とした高等教育改革にとって重要なことはほぼ網羅した」と述べた。だが財源の確保など実現に向けた課題は多い。国が大学改革に強く関与することに教育現場からの抵抗もありそうだ。

 最大の障壁となりそうなのが財源の確保。素案には▽日本人留学生の留学費用の支援▽社会人の学び直し促進に向けた企業への経費助成▽大学の研究経費の増額――など新たに財源が必要な項目が目白押しだ。

 政府は財政健全化のさなかにあり、経済財政諮問会議の民間議員からは歳出の抑制を求める声が上がる。下村博文文部科学相は教育に対する公財政支出を現在の国内総生産(GDP)比3.8%から経済協力開発機構(OECD)の平均(5.8%)並みに引き上げることを目指しているが「財務省との折衝次第。道のりは険しい」と文科省幹部は漏らす。

 大学の入試や卒業認定に英語能力テスト「TOEFL」を活用することには、同会議の委員からも「受験料が高額で受験機会の公平性からも問題がある」と懸念する声が上がった。テストの難易度が高く、大学入試レベルでは実力の差が測りにくいとの指摘もある。

 小学校での英語の教科化の課題は教員の語学力だ。語学力の高い教員の養成には時間がかかるほか、検定教科書づくりや児童の成績評価方法の確立、授業時間の確保など検討すべき課題が多い。

 大学の教授会の役割見直しを巡っては、既得権を奪われることになる教員側からの反発も予想される。

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