『日本経済新聞』2013年5月6日付
（ポイント）公財政支出増は国民合意が前提
大学教育の規模の拡大と質の向上を実現するには、それ相応のコストがかかるが、問題はそれを誰が負担するのか、ということだ。
大学生の保護者の世代は、賃金が伸び悩み老後の不安も増しており、これ以上の負担増は厳しい。一方で国は未曽有の財政危機にあり、財政当局は大学予算に厳しい姿勢で臨む。大学には閉塞感が漂う。
そうした中で、教育への公財政支出増を訴える下村大臣の発言は、教育現場には力強く響くだろう。だが、それを実現するには、幅広い国民的コンセンサスが欠かせない。何よりもまず教育界が、国民が応分の負担をしてもいいと納得するだけの信頼を勝ち取ることが重要だろう。