学制・大学入試など重点改革 5年計画、中教審が答申『日本経済新聞』2013年4月26日付

『日本経済新聞』2013年4月26日付

学制・大学入試など重点改革 5年計画、中教審が答申

 中央教育審議会(三村明夫会長)は25日、2013年度から5年間の教育行政の指針となる第2期教育振興基本計画の原案を下村博文文部科学相に答申した。小中高校から大学までの学制の見直し、大学入試改革など30項目の重点施策を挙げた。教育への公的な財政支出について、経済協力開発機構(OECD)諸国並みに引き上げるとの目標を初めて掲げた。

 ただ、現在の公的な教育投資は国内総生産(GDP)比で3.8%。OECD平均の5.8%にするには年10兆円の支出増が必要となる。答申は厳しい財政状況を考慮し、OECD平均並みの実現は「将来の目標」にとどめた。

 重点施策は小中高校の分野の目標として「国際的な学力調査でトップレベルを目指す」と明記。具体的には、土曜授業の復活▽高校での学力到達度テストの導入▽情報通信技術(ICT)を活用した双方向型学習の推進――などを挙げた。

 コミュニティースクール(地域運営学校)を全公立小中学校の1割に拡大することも盛り込んだ。コミュニティースクールは保護者や地域住民が学校運営に直接参加する仕組みで、現在は約1200校が導入している。子供を巡る様々な課題を地域全体で解決するため、導入校を約3千校に増やすとした。さらに、いじめ防止策を徹底するため、道徳の教科化を検討する。

 大学教育では、グローバル社会で活躍できる人材の育成を挙げた。30年までに日本人留学生を倍の12万人に増やす。筆記試験に偏った入試方法を改め、面接などによる時間をかけた総合的な評価の導入なども検討。学生の自習時間を国際水準に高めるため、授業の質を変えるとした。

 さらに図書館の充実など学習支援環境の整備を進めるほか、討論などを中心にした授業を増やす。早期に離職する若者が多いことなどを踏まえ、職業教育の充実も盛り込んだ。

 小中高校と大学を6・3・3・4に区切る学制を見直し、より柔軟な教育システムを作る検討も始める。教育費の負担を軽減するため幼児教育を無償化するとした一方、高校授業料の無償化制度には所得制限を導入する方針を明記した。ただ、低所得世帯への支援は充実するとしている。

 文科省は答申を踏まえ、同計画を早期に閣議決定する。文科相は答申を受けて「教育再生に向けた具体的な道筋を示していただいた。関連施策の推進に全力で取り組みたい」と述べたが、教育投資の増額は財務省などの反発が予想され、政府内の調整は難航しそうだ。

Proudly powered by WordPress   Premium Style Theme by www.gopiplus.com