7国立大 講義中継し共有 ■来年度スタートめざし連携■教養科目 教員不足補う『朝日新聞』北海道版2013年4月20日付

『朝日新聞』北海道版2013年4月20日付

7国立大 講義中継し共有 ■来年度スタートめざし連携■教養科目 教員不足補う

 【熊井洋美】道内の国立7大学が、テレビ会議システムを使った中継授業で、教養科目の講座を共有することになった。大学法人化で運営の効率化を迫られる中、教員不足を補完し合うなどして教養教育の質を確保しようという取り組み。来年度の開始に向けて、今年度中に準備を進める。

 連携するのは北海道大、北海道教育大、小樽商科大、帯広畜産大、室蘭工業大、北見工業大、旭川医科大の道内国立7大学。北大以外は単科大学で、法人化に伴う運営効率化で専門分野の充実を優先すると、どうしても教養科目の講座の多様性や教員の数を維持できないという悩みを抱えていた。

 北見工業大(北見市)では、教養科目の第2外国語でドイツ語とロシア語、中国語を選べるとしているが、ロシア語はここ数年、「休講」の状態だ。常勤の教員がいるのはドイツ語だけで、中国語は他の大学とかけ持ちする非常勤の講師に依頼している。

 ロシア語は、前任の教員が転勤してから地域での人材確保ができないままだ。「札幌市からは日帰りで講師を呼ぶのが難しい距離で、心苦しいが、学生のニーズに応えられない」と田牧純一副学長は話す。

 室蘭工業大(室蘭市)も第2外国語のほか、教員志望者向けの教職科目の人材確保に苦心している。夏休み期間などに北海道教育大から講師を招き、集中講義で対応しているという。

 状況を改善するため、2年前に学長同士の話し合いで、各大学が双方向でやり取りできるテレビ会議システムを応用し、講義の共有化を図ることになった。設備費用などは文部科学省の補助金を利用する。

 事務局を担う北大学務部は、今後、共有する講義を選択し、効果的な授業法や教材の開発、中継機材の扱いについて研修などを行う方針。西田久美子学務部長は「総合大学や教員養成大学から単科大学への講座供給だけでなく、単科大の特色ある講座を他大学の学生も聴けるようにし、多様性のある講座の実現に活用したい」と話す。

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