にいがた人模様:上越教育大の新学長に就任、佐藤芳徳さん『毎日新聞』新潟版2013年4月7日付

『毎日新聞』新潟版2013年4月7日付

にいがた人模様:上越教育大の新学長に就任、佐藤芳徳さん

◇夢与える教員育てたい佐藤芳徳さん(60)

 任期満了に伴い退任した若井弥一学長(65)の後任として、1日に上越教育大の第7代学長に就任した。「子どもたちに夢を与える教員を育てたい」と抱負を語る。

 母親が小学校教諭だった。中学時代は尊敬できる先生と出会い、影響を受けた。将来、自分も中学か高校の先生になると決め、大学を選んだ。

 大学で初めて触れた「水文学(すいもんがく)」。河川や湖沼、地下水などの、水の状態や変化を研究する自然地理学の一分野。指導教官(教授)が魅力的な人だったこともあり、興味を持った。さらに深く学びたいという思いに駆られ、大学院に進学。研究者の道を歩み始めた。

 大学院(博士課程)を中退し、宇都宮大に助手として赴任。87年、上教大に転任した。上越では地下水をくみ上げる消雪パイプが普及していることから、主に、高田平野の地下水の流れを調べてきた。

 学外の活動にも熱心に取り組んできた。県環境審議会の委員として県の環境施策に携わり、河川や地下水の水質保全について提言している。

 15年春開業予定の北陸新幹線の県内沿線自治体などでつくる広域連携会議では「駅名等検討部会長」を務める。上越駅(仮称)の正式名称を巡っては、さまざまな意見が沿線市民から挙がる中、JR東日本に要望する地元案のまとめ役を託され、調整力を発揮。結論に導いた。

 上教大は地域との関わりに力を入れている。例えば、県や新潟、上越市など自治体と連携。教育課題について積極的に意見交換を行っている。

 また、大学教員を県内の小中高校や町内会などに派遣し、出前授業や公開講座も開いている。「大学と地域との関わりは、これからも充実させたい」と、意欲を見せる。

 一方、上教大の運営経費の約7割は文部科学省からの運営費交付金。それも毎年約1%減額されている。新学長は台所事情とも向き合わなければならない。「厳しい状況だが、経営努力を重ねていきたい」と表情を引き締める。【長谷川隆】

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 ■人物略歴

 ◇さとう・よしのり

 1952年、群馬県東吾妻町生まれ。東京教育大卒、筑波大大学院中退。専門は「水文学」。09年から上教大の副学長。趣味は野球で、大学の職員チームで外野手を務める。

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