エコ医療:実現へ貢献 産官学がセンター運用 川崎・殿町で来年度から『毎日新聞』神奈川版2013年4月4日付

『毎日新聞』神奈川版2013年4月4日付

エコ医療:実現へ貢献 産官学がセンター運用 川崎・殿町で来年度から

 生命科学分野の拠点形成が進んでいる川崎臨海部の殿町地区(川崎市川崎区)で、新たに「(仮称)ものづくりナノ医療イノベーションセンター」が14年度から運用を開始する。産業化につながる成果を出すため、産官学が一体となった新たなマネジメント組織が運営に当たる。【高橋直純】

 新センターには東京大、東京工業大、国立がん研究センターなどの研究機関やニコン、富士フイルムなどの民間企業が入居し、ナノテクノロジー(微細加工技術)を使った新しい医薬品や診療機器などの開発に取り組む。効率的に患部に届く抗がん剤の開発など、現段階で12のプロジェクトが予定されている。

 統括する片岡一則東大教授は、2日に川崎市役所で記者会見し、「高品質だが庶民的な『エコ医療』の実現に貢献できる」と説明した。市は運営開始後10年程度で、日本全体で6000億円の経済効果、3万5000人の雇用を生むと試算している。

 産業化を見据えた研究体制を構築するため、入居する企業や大学が人や資金を出し合って新たに「(仮称)エコ医療フォーラム」を設立する。市臨海部国際戦略室によると、産官学が一体となった研究マネジメント組織は日本初の取り組みになるという。国内外の優秀な人材を雇用し、研究成果の実用化や知的財産の管理などを行う。

 建物や設備を管理運営するのは、市が出資する公益財団法人市産業振興財団。国からの交付金35億円と市からの借入金10億円で整備する。当初は全額を国費で賄う予定だったが、想定より少なかったため急きょ市からの貸し付けが決まった。8000平方メートルの建設予定地は市が約14億円で購入し、財団に貸し付ける。財団は、年間数千万円の賃借料について、入居する企業や大学からの家賃収入などで賄うとしている。

 市や県は「運営段階でも税金を投入していくだろうが、できるだけ民間資金で回るようにしていきたい」としており、今後は研究開発資金を集めるファンドの設立などにも取り組むとしている。

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