千葉大 攻めの取り組み『読売新聞』千葉版2013年4月3日付

『読売新聞』千葉版2013年4月3日付

千葉大 攻めの取り組み

 少子化に伴う大学全入時代のなか、千葉大が攻めの姿勢に転じている。新年度からフリーキャスターの木場弘子さん(48)を客員教授に迎え、広報活動を強化する。学生が英語だけで話す場「イングリッシュ・ハウス」も学内に開設し、国際的人材の育成にも本腰を入れる。国立大は各都道府県のシンボル的存在で、地域経済にも影響を与えるだけに、注目を集めそうだ。(向井ゆう子)

 「国立大学は広報活動が謙虚だ。底力のある千葉大なので学生にたくさん来てほしい」

 2日午前、千葉大西千葉キャンパス(千葉市稲毛区)で、木場さんの就任式が行われた。斎藤康学長が任命状を授与し、木場さんが抱負を述べた。斎藤学長も「国際的にも国内的にも広報していくには最適な方だ」と期待を寄せた。

 木場さんは同大教育学部出身。2006年から学部特命教授でPRに一役買ってきた。今回、同大初の「広報担当」客員教授に就任し、本格的に広報活動を担う。マスコミ出身の木場さんの任命で、民間の目線を取り込む狙いがある。具体的には、全国での講演活動や大学説明会などで受験生と対話することを検討している。

 千葉大が4月から始める新たな取り組みが、英語を「公用語」と位置づける空間「イングリッシュ・ハウス」の開設だ。

 学生食堂に隣接した校舎の一角。白塗りの壁に、色とりどりの英単語がプリントされ、ソファや椅子が並ぶ。コーヒーや軽食を提供するスペースもあるほか、音楽やファッションを取り上げた英国の雑誌も並ぶ。

 外国人教員が常駐し、学生は好きな時間に出入りできるのが特徴。学生同士も英語で話すのが基本だ。斎藤学長が2年前に発案し、開設に向けて準備してきた。広さは約300平方メートルで、食堂など校舎の一部を改装した。

 同大は5年後に、卒業時のTOEIC平均点を730点に引き上げる目標を新たに掲げた。現状は、入学直後の約500点で、「イングリッシュ・ハウス」を活用して伸ばす考えだ。医学部の新1年生、川面(かわつら)貴彦さん(19)は「医学では英語力も求められる。積極的に参加したい」と話す。

 こうした取り組みの背景には、大学全入時代を迎え、大学間の競争が激化していることがある。千葉大の志願倍率は、横ばい傾向で、目立った落ち込みはない。だが、全国的には、大学教育の質の低下が懸念されている。

 文部科学省は教育向上に努力した大学に財政支援をするなど競争を促している。千葉大も昨年、国際的な人材教育プログラムが同省の財政支援を受けることになった。実績が出るのは来年度以降で、具体的な成果が問われることになりそうだ。

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