センター試験 大学は当事者意識持って臨め『読売新聞』社説2013年1月15日付

『読売新聞』社説2013年1月15日付

センター試験 大学は当事者意識持って臨め

 昨年のような混乱は二度と許されない。万全の準備体制が必要だ。

 大学入試センター試験が19日と20日に実施される。志願者数は約57万人。参加大学・短大は国公私立で840校に上り、過去最多だ。

 大学入試センターと各大学は、緊張感を持って試験の運営にあたってもらいたい。

 昨年の試験では、試験方法の変更に伴い、「地理歴史」と「公民」で問題冊子の配布ミスなどが続出し、計約7000人の受験生に影響が出た。被災地・宮城の会場では英語のリスニング用機器が届かず、試験開始を遅らせた。

 大学入試センターは今回、問題冊子の配布方法を見直した。各大学も試験監督者向けの説明会数を増やしたり、予行練習を重ねたりするなどの対策を講じている。

 だが、油断は禁物だ。文部科学省の検証委員会報告書を見ると、大学側の当事者意識が乏しかったと言わざるを得ない。

 配布ミスをした大学の3割が、説明会を欠席した試験監督者に事前に資料を配布しただけで済ませていた。試験開始後に監督要領を読み直し、初めて配布ミスに気付くお粗末な事例も見られた。

 センター試験が入試センターと参加大学の共同実施だとの基本認識に欠ける大学すらあったことには驚かされる。

 センター試験は、共通一次試験から衣替えして1990年に導入された。参加大学数は年々、増えている。高校段階の学習到達度を判定する統一試験として、定着してきたことは評価できる。

 面接などで人物重視の選抜を行うAO(アドミッション・オフィス)入試や推薦入試と、センター試験を併用する国公立大学が今回、100校を超えた。

 学生の学力不足の深刻化で、基礎学力がついているかどうかを、センター試験によって見極める傾向が強まっているのだろう。

 試験会場などの提供だけで参加できるため、私大の中には、低コストで受験生を獲得する手段として、センター試験を使っているところも少なくない。

 利用する科目や科目数を大学が自由に決められる現行のアラカルト方式により、大学側は多様な入試方式の設定が可能になった。一方、科目選択が複雑になり、受験する側が戸惑うケースもある。

 一度に滞りなく実施するには、試験規模が膨らみすぎたとの批判も根強い。様々な角度からセンター試験の課題を洗い出し、改善につなげることが大切だ。

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