『読売新聞』2012年10月29日付
山梨大に「女性研究者支援室」…交流の場にも
山梨大は今月、甲府市武田の甲府キャンパスに「女性研究者支援室」を新設した。
出産や育児を抱える研究者のために、実験やデータ整理を手伝う「サポーター」の雇用制度を11月にも始めるほか、同室をカフェのようなおしゃれな内装にし、交流の場として開放する計画も進んでいる。
総務省の昨年3月末現在の統計では、全国の大学や研究機関に属する女性研究者は全体の13・8%。一方、山梨大の女性研究者は全学部合わせて16・6%と、全国水準をやや上回る。その中で支援室を設置するのは、全学的な支援姿勢をアピールすることで、女子高校生の理系離れを食い止め、研究の道を選ぶ女子学生の不安を解消するのが狙いという。
目玉事業の一つがサポーター制度。「長時間の実験中、子どもの保育園の迎えの時間がきてしまった」といった場合、代わりに実験を引き継いだり、データ整理を請け負ったりする人を同室が仲介し、大学で雇用する。サポーターは、山梨大大学院生や学外の博士・修士課程修了者を公募する予定。なるべく女性を雇用するという。
同室には職員や教員の女性7人が所属する。室長で生命環境学部の風間ふたば教授(環境学)自身も、育児経験者。子どもを保育園に預けていた頃は、送迎時間に実験スケジュールを合わせるのに苦労し、研究が停滞したという。「サポーター制度はとても有効だと思う」と実感を込める。
このほか、来月からは同室の内装を模様替えし、昼休みなどに女性研究者の相談を受けたり、研究者同士で情報交換したりする場として開放する計画もある。風間教授は「大学全体で女性研究者を支援する雰囲気をつくりたい」と意気込んでいる。