『朝日新聞』熊本版2012年10月5日付
熊大、研究医養成へ 柴三郎プログラム
目指すは北里柴三郎!
熊本大が基礎研究医の養成に力を入れる。高校生に医学研究を体験させたり、大学で大学院の単位取得を可能にしたりして、大学院での研究者を増やすのが狙いだ。破傷風菌の純粋培養法を確立したことなどで知られる小国町出身の北里柴三郎のような人材を育てようと、「柴三郎プログラム」と名付けた。
熊大医学部などによると、大学卒業後に医療機関での臨床研修(2年以上)が2004年から義務化されたが、研修後に大学院に進んで研究を続ける人は全国的に減少しているという。
このプログラムの実施にあたり、熊大医学部は同学部に入学実績のある県内の高校に呼びかけ、8月に説明会を開いたところ46人が参加した。高校生はネズミの手術やIPS細胞にふれるなどの体験をし、このうち8人が放課後や週末に大学で研究を続けているという。同大は「研究の機会や設備の提供で研究心を植え付けたい」という。
同プログラムでは、医学部で大学院の単位を取得する飛び級を可能にしたり、選考の上、大学院の入学料と2年間の授業料計130万円を免除したりする。こうした環境作りで高校、大学、大学院で研究を継続しやすくし、研究医の育成につなげるという。
熊大は文部科学省の事業に応募し、全国で10大学、九州では唯一採択され、今年度から5年間で計1億円の予算がプログラムに認められた。
医学部の入試では14年から面接も導入し、人物面も評価対象にする方針だ。医学部の富沢一仁教授は「北里柴三郎博士のように人類に恩恵を与え、世界で活躍する研究医師の育成を目指したい」と話す。
問い合わせは事務局(096・373・5051)。