沖縄科学技術大学院大学が開学 新産業の創出期待『日本経済新聞』2012年9月7日付

『日本経済新聞』2012年9月7日付

沖縄科学技術大学院大学が開学 新産業の創出期待

 「世界最高水準の科学技術の研究・教育」を目指す沖縄科学技術大学院大学(OIST、沖縄県恩納村)は6日、博士課程に18カ国・地域の34人を迎え、開学式典を開いた。生命科学や環境分野で最先端の「知の拠点」になるとともに、企業との共同研究や研究成果の産業化に取り組む。県もバイオ関連など新産業創出の核として期待する。

 「OISTは生命、物理、環境分野で新たな可能性を切り開く。学生の目の前には知的視野を広げる道がある」。米スタンフォード大から招いた物理学者のジョナサン・ドーファン学長は式典で宣言した。

 来賓としてあいさつした仲井真弘多沖縄県知事は「県民は文化であれ学問であれ、頑張っている人に敬意を払う。沖縄の記憶をしっかり刻んで、将来は世界中で学問の進歩に貢献することを祈念します」と期待の言葉を贈った。

 OISTは5年一貫教育の博士課程で毎年約20人前後の学生を受け入れる。1期生は34人で、うち日本人は5人。アジアから中国、インド、パキスタンなどの12人、米国から3人、欧州からドイツや英国などの9人、アフリカ・中東からエジプトなどの5人が選考を突破した。女性は計10人。

 教授陣は18カ国・地域から招いた46人がすでに研究ユニットを発足させており、神経科学、環境・生態学など5分野に大別される。ノーベル生理学・医学賞を受賞したシドニー・ブレナー博士も教授として在籍する。

 OISTは2001年に内閣府が設置を提唱。準備期間を経て昨年11月、文部科学省が設置を認可した。特別法に基づいて設立され、国の予算で運営される。毎年約100億円の研究事業費、運営費が投入される。

 沖縄県は3月、OISTと連携協定を締結。地元企業との共同研究を促し、バイオ関連など新産業を創出・育成する。県とOISTも海洋微生物を用いた創薬研究で連携を始めるなど、今年度からの第5次沖縄振興計画でも産官学連携の核と位置付けている。

 エジプト出身のモハメッド・アブデルハックさん(23)は「コンピューターを活用して脳の働きを研究したい。日本と沖縄のことも知りたい」と抱負を述べた。

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