奨学金滞納、増加の一途 県教委の高校、大学生向け 『富山新聞』2012年9月9日付

『富山新聞』2012年9月9日付

奨学金滞納、増加の一途 県教委の高校、大学生向け 

 富山県教委が高校生、大学生らに貸与する奨学金で、2011年度の未返済金(滞納額)は10年度比262万円増の2118万円となり、05年度の奨学金制度変更後、最多となった。長引く景気低迷の影響で、滞納額が右肩上がりで増え続ける中、県教委は口座振替の推奨や担当職員の増員などで滞納者への督促を強化しており、「返還金は将来の奨学生への原資」(県立学校課)であるとして、未返済金の回収に全力を挙げる考えだ。

 県教委は05年度に旧日本育英会(日本学生支援機構)から高校生対象の奨学金事業を移管された後、高校生や大学生に奨学金を貸与している。厳しい景況を反映し、奨学金貸与者数は、初年度は316人だったが、右肩上がりで増加し、11年度は500人を超えた。

 貸与者数の増加に応じて滞納額も増えており、初年度は455万円だったが、06年度553万円、07年度737万円、08年度875万円と徐々に膨れ上がり、リーマンショック後の09年度には1552万円と急増、10年度も1856万円と増加傾向が続いている。

 11年度の滞納額の内訳は単年度分が601万円(前年度比117万円減)で、過年度分が1517万円(同379万円増)。滞納者数は80人で前年度より4人減ったものの、滞納額の多い長期間の滞納者が全体の滞納額を押し上げた。

 県教委は対策として、05年度に滞納整理に当たる職員を1人から2人に増員。06年度には口座振替を導入して奨学生の返還忘れの防止を図っている。一方で、高校や大学卒業後、安定した職に就けない奨学生も増えており、そうしたケースでは分割返還などの相談を受け付けている。

 県教委は「近年、奨学金のニーズは高まっており、生徒、学生の就学機会を確保するためにも未返済金の回収に努めていきたい」(県立学校課)としている。

Proudly powered by WordPress   Premium Style Theme by www.gopiplus.com