改正された原子力基本法から「安全保障」の語の削除を求める 2012年8月23日   佐賀大学工学系研究科物理科学専攻教員一同

改正された原子力基本法から「安全保障」の語の削除を求める

政府は,原子力基本法の第二条(基本方針)に「安全保障」という目的
を付け加えるという改正を行った.法律の中で使われる「安全保障」と
いう言葉は,外交政策だけでなく防衛政策をも含み,軍事的な意味も排
除されない.すなわち,原子力の研究・開発・利用に「安全保障」目的
が加わることは,核兵器開発も含まれるものと受け止められかねない.

このような解釈の余地を残すことは,同じ第二条の第一項にある「平和
の目的に限」るというわが国のこれまで原子力政策の基本と矛盾する.

核兵器開発の歯止めを外すことにつながりかねない今回の改正は,核兵
器の廃絶という国民大多数の願いにも反する.核兵器は科学技術の悪用
の最たるものである.これが物理学者たちによってこの世に生み出され
たため,わが国の物理学の優れた先達たちも,「湯川・朝永宣言」など
核兵器廃絶のための努力を行ったが,その目的は未だに達成されていな
い.よって我々は,同じ学問分野の教育と研究に携わる者としてこの努
力を受け継ぐべく,今回の改正を元に戻し,第二条から「安全保障」の
語を削除することを政府と国会に求めるものである.

2012年8月23日   佐賀大学工学系研究科物理科学専攻教員一同

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