『日本経済新聞』2012年7月30日付
科学技術分野の来年度予算配分方針を決定 総合科技会議
政府の総合科学技術会議(議長・野田佳彦首相)は30日、2013年度の科学技術予算の配分方針を決定した。東日本大震災からの復興・再生と環境・エネルギー、医療を最重要課題に掲げた。各省庁はこの方針に基づき来年度予算案の概算要求をする。
震災関連では、地震と津波の発生情報を素早く伝える技術や、除染作業の被曝(ひばく)防止技術などを挙げた。「東北から全国や海外に発信可能な取り組み」も重点分野に位置付けた。
環境関連は太陽光や風力など再生可能エネルギーの利用拡大のほか、蓄電池といった分散型エネルギーの普及に向けた技術開発を盛り込んだ。
医療関連では予防医療や、様々な細胞になるiPS細胞を使った再生医療などに力を入れる。
また、産業競争力の向上などにつなげる「重点施策パッケージ」には、人の健康に影響する水質汚染物質の除去技術や、レアアース(希土類)の代替材料開発などを掲げた。
30日に首相官邸で開かれた総合科技会議の本会議で、野田首相は「政府は関係省庁の縦割りを廃し、大胆な重点化を行い、強力に科学技術イノベーションの推進を後押しする」と述べた。