『日本経済新聞』2012年7月26日付
再生戦略、1兆円規模の特別枠 13年度予算 医療・環境・農業を優先
野田佳彦首相は25日、官邸で政府・民主三役会議を開き、2013年度予算編成に関する基本方針の調整に入った。27日にも閣議決定する日本再生戦略の関連事業に重点配分する特別枠を設け、1兆円規模にする方向で調整する。東日本大震災の復興費は引き続き別枠とし、それ以外の政策経費は12年度当初予算の71兆円以下に抑える。新規国債発行も12年度当初の44兆円以下とするが、与野党から歳出圧力が強まるのは必至だ。
野田政権は13年度予算編成について、14年4月からの消費増税を見据えて財政健全化と経済成長の双方に目配りした内容にしたい考えだ。ただ、高齢化に伴い社会保障関係費で1兆円以上の自然増が見込まれるほか、次期衆院選をにらんで与野党の予算要求は強まっており、抑制型とは言い難い予算案になる可能性がある。
12年度予算の概算要求基準では、特別枠として新成長戦略に重点配分する「日本再生重点化措置」を設け、7000億円程度を確保。特別枠の対象はエネルギー、インフラ整備など4分野とし、昨年末にまとめた政府案では約1兆円に膨らんだ。
来年度予算編成では、政府の成長戦略を盛り込んだ日本再生戦略に沿った事業に重点配分する特別枠と位置付ける。再生戦略の中でも(1)医療・介護(2)環境・エネルギー(3)農林水産業――の3分野に優先的に配分し、概算要求の段階から1兆円規模に拡大する方向だ。
一般歳出では12年度予算の枠組みを堅持し、国債の元利払い費を除く政策経費を71兆円以下とし、歳入では新規国債発行を44兆円以下に抑える。この方針の実現や特別枠への財源捻出のため、社会保障費や地方交付税などを除く政策経費を全体で1割減らす。
12年度予算編成では要求段階から各府省で一律1割削減したが、民主党には「一律削減では予算にメリハリがつかない」との声があり、具体的な削減方法は今後詰める。