県またぎ学部再編 1大学法人が複数運営 文科省、少子化で改革案『産經新聞』2012年6月5日付

『産經新聞』2012年6月5日付

県またぎ学部再編 1大学法人が複数運営 文科省、少子化で改革案

 文部科学省は5日、国立大学に都道府県境を越えた運営法人や学部再編を促すことなどを柱とした大学改革プランを公表した。少子化が急速に進む中、 大学教育の質を高め、世界で活躍する人材の育成が目的。今年度から着手し、中教審の議論などを踏まえながら平成29年度までに実行する方針。

  国立大学改革では、全国立大に来年夏までに、各学部の役割を再定義させ、改革策を打ち出すよう求める。大学や学部の枠を超えて再編を促すものだが、そのた めに導入するのが、1つの国立大学法人が複数の国立大を運営できる「アンブレラ(傘)方式」だ。民間の持ち株会社に似た方式で、都道府県境にとらわれず、 1法人が所在地の近い大学や教員養成系など同じ分野の大学をグループ化したり、教育内容が重なる学部を統合したりできる。

 現行法では「1法人1大学」とされているが、文科省は法改正を目指す。

 国立大は、16年に法人化される以前は100校以上ある時期もあったが、少子化などを背景に統廃合が進み、現在は86校。政府の国家戦略会議から、さらなる統廃合促進を含めた改革を求められていた。

 しかし、私大より授業料の安い国立大がさらに減少すると、経済的理由で大学進学の機会を奪いかねない。このため、文科省はアンブレラ方式の導入により大学運営を効率化し、大学をなくさない形で再編を進めることにした。

 高井美穂文部科学副大臣は「少子化に応じて大学の数を減らすという議論もあるが、都市、地方ともに日本が持続的に発展していくためには、高等教育を受ける子供の数を増やし、質を高めていくということが一番大事」と述べた。

 一方、入試改革では現行の知識偏重の入試から、意欲や能力、適性を総合的に評価する方式に転換する。

 例えば、大学入試センター試験では1点刻みで競うのをやめ、得点に応じて数段階のレベルで評価する方式を促すほか、2次試験で面接や論文で意欲を見ることや、英語能力試験「TOEFL」などの点数を活用することも提案する。

Proudly powered by WordPress   Premium Style Theme by www.gopiplus.com