国家公務員の退職給付400万円減、官民格差是正へ 有識者会議が方針 『日本経済新聞』2012年5月23日付

『日本経済新聞』2012年5月23日付

国家公務員の退職給付400万円減、官民格差是正へ 有識者会議が方針

 国家公務員の退職手当(退職金)と共済年金をあわせた「退職給付」の見直しを議論する政府の有識者会議(座長・森田朗学習院大教授)は23日、民間との約400万円の差を埋めるため、当面は退職手当を引き下げる方針を決めた。政府は国会に国家公務員退職手当法改正案を提出し、今年度中から下げ始めたい考えだ。

 国家公務員の退職給付を巡っては、岡田克也副総理らが消費増税の前提の「身を切る改革」の一環として、早期の官民格差是正を主張している。国会で審議中の被用者年金一元化法案には「職域加算」と呼ばれる共済年金の上乗せ給付の廃止を盛り込んでいるが、最短でも2015年9月までは存続する。

 同会議はその前に退職手当を減らし、格差を是正する必要があると判断した。400万円分は段階的に引き下げるのが適切との意見が多数を占めた。早期退職の拡充も求めている。

 総務省は関係労組などと調整して法案をまとめるが、民主党の労組出身議員から「公務員制度改革関連法案の成立前に退職手当削減の話が出るのはおかしい」との不満が噴出。労組幹部も「暮らしに影響を及ぼす急激な減額は受け入れ難い」と漏らす。

 党内には「実際の格差はもっと大きい」と一段の切り込みを求める声もある。議論の前提となった人事院調査は従業員50人以上の民間企業が対象で、小さな会社を含めれば格差は大きくなるためだ。

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