独法・国立大の給与削減 復興財源1000億円捻出へ 『日本経済新聞』2012年5月11日付

『日本経済新聞』2012年5月11日付

独法・国立大の給与削減 復興財源1000億円捻出へ

 政府は2月に決まった国家公務員の給与削減に関連して、独立行政法人や国立大学など国の公的機関の職員の人件費も減らし、復興財源に充てる方針を固めた。国が各機関に支出している人件費向けの補助金を削減したり、各機関で給与を減らした分を国庫に入れたりすることで1000億円ほどの財源の捻出を目指す。11日にも閣議で申し合わせる。

 政府は各機関に対して給与削減に向けた労使交渉を急ぐよう要請する。新たな財源は今後、2012年度補正予算を編成した時に復興財源として計上する見通しだ。

 補助金の削減幅は平均約7.8%の給与を下げる国家公務員と、おおむね同じ水準で算定する。12年度予算によると、一般会計と特別会計を合わせて独法に約1.5兆円、国立大学に約1.1兆円の運営費交付金が流れている。このうち独法、国立大向けの補助金から人件費にあたる約300億円ずつを減らす。日本年金機構など特殊法人向けの補助金からも約100億円捻出する。

 政府は各法人の労使交渉の結果、給与の引き下げに応じない法人があった場合でも、補助金のカットを強行する方針だ。復興財源を確保するとともに、消費増税を前に切り詰めに努める姿勢を印象づける狙いもある。

 国の支出を受けていない公的機関にも、給与の引き下げを求める。日銀や預金保険機構などを念頭に、給与の引き下げ分で200億~300億円程度の確保を見込む。

 一方、すでに決まっている復興増税の計画は変えない見通しだ。政府は復興経費を11~15年度までの5年間で19兆円と見込み、そのうちの約10.5兆円を所得税や法人税などの臨時増税で賄うことを決めている。全体額に比べて新たな捻出額は小さく、増税計画を圧縮できるほどの規模ではないと判断している。

 政府内では地方公務員の給与を減らすことで、給与分にあたる地方交付税を圧縮できれば、さらに大きな財源が生まれるとの意見もある。だが地方側の抵抗は強く調整は進んでいない。

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