秋入学、東大など12大学が初会合 懇話会が発足『日本経済新聞』2012年5月8日付

『日本経済新聞』2012年5月8日付

秋入学、東大など12大学が初会合 懇話会が発足

 秋入学への全面移行を目指す東京大学が有力11大学に呼び掛けて設けた「教育改革推進懇話会」が7日、発足した。同日、東京都内で初会合を開き、世界で活躍するグローバル人材の育成に向け、カリキュラムや入試制度の改革、国際化への対応などを総合的に話し合うことで合意。入学時期の見直しについては各校で考えに開きがあり、改革策の一つとして議論を進める方針を確認した。

 懇話会は、東大をはじめ北海道、東北、筑波、東京工業、一橋、名古屋、京都、大阪、九州の国立大10校と、早稲田、慶応の私立大2校で構成。東大と慶応大が幹事役として協議を進め、国立大や私立大の団体に議論の経過を伝える役割も担う。

 話し合うのは主に(1)カリキュラム改革(2)入試改革など高校との接続問題(3)欧米の大学で主流の秋入学の導入など国際化に対応した教育システム(4)国際的・社会的な体験活動の推進――など。テーマ別に作業グループをつくり、取り組みやすい内容から順次実施していくとみられる。

 秋入学などの実現には春卒業を前提とする企業の入社時期の変更が必要となるため、同懇話会は企業などを交えた協議組織を別に発足させる。

 東大は1月に浜田純一学長の私的懇談会が秋入学全面移行を求める中間報告を公表。4月にも有力12大学による協議の場を設け、議論を加速させる考えを示した。

 各大学間では、国際化や学生が多様な体験を積むのに役立つとして賛成の意見が広がる一方、高校卒業から入学までの半年間(ギャップターム)の過ごし方や経済負担への懸念なども続出。懇話会の参加校でも「若者の意識改革には入試制度を変える方が重要」(京大の松本紘学長)と温度差が表面化し、秋入学に限定せず総合的に改革を議論することで落ち着いた。

 東大の浜田学長は初会合後に「議論をスタートできて良い感じだ。何でもすぐに進むわけではない」と強調。意見の違いはあるが、有力大が秋入学について本格的に議論する場が整ったことを前向きに受け止めた。

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