なるほドリ:長崎大の核兵器廃絶研究センターどんな所?『毎日新聞』長崎版2012年5月3日付

『毎日新聞』長崎版2012年5月3日付

なるほドリ:長崎大の核兵器廃絶研究センターどんな所?

◇世界の情勢専門家が調査・分析 平和の道筋、市民と提言

 なるほドリ 長崎大学に核兵器廃絶研究センターができたって。どんな所なの?

記者 「核兵器廃絶」と冠した初のシンクタンクと言われます。センター長は、NPOピースデポで活躍した梅林宏道さんです。被爆地・長崎が悲願としてきた核兵器廃絶に向け、具体的な道筋を提言していくことが期待されています。刻一刻と動く世界の情勢をタイムリーにつかみ、現実に即した提言が求められます。そのために、核軍縮に関する国際会議に出向き、各国の発言を把握するとともに、発言にどんな背景があるかなどを探ります。

Q 市民も利用できるのかな。

A ええ。「開かれたシンクタンク」を掲げていますから。国際会議で得た情報や、各国の核兵器に関する情報などはホームページで公開し、アクセスしやすくすることで、市民が最新のデータに基づいて主張する手段にできます。被爆地のメッセージは、被爆体験から感情で訴えてきた一方、理詰めの交渉をするための論理は不足していると言われてきました。センターは、これを補完し、市民の主張とで車の両輪の役割を果たすことが期待されています。

Q 何から始めるの?

A 11日までウィーンで開かれる核拡散防止条約(NPT)再検討会議の第1回準備会合に参加しています。

Q NPTって何?

A 核兵器保有国が増えることを防ぐため70年に発効した条約です。68年までに核実験を終えていた米ソ英仏中を「核保有国」、それ以外を「非核保有国」と区別。核保有国には核兵器を減らすための交渉を誠実に行うことを求め、非核保有国には原子力の平和利用は認め、核兵器の製造、取得を禁じています。

Q 40年以上も前から。で、進展は?

A まだ問題が多いのが現状です。核保有国の核兵器削減は進んでいません。核兵器を開発している疑いをもたれている国も増えています。95年に条約の無期限延長を決定し、5年毎に再検討会議を開くこととしました。その4年前から毎年開くことにしたのが準備会合です。

Q 準備会合でセンターは何をするのかな。

A スタッフが常駐して会議をモニターします。また、梅林センター長が、被爆地の研究者として「核抑止」の考えを超えて新しい平和の形をどう描くか、話す予定です。

<回答・釣田祐喜>

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