文科省、iPS細胞研究拠点と臨床機関をネット化-再生医療実用化急ぐ『朝日新聞』2012年5月1日付

『朝日新聞』2012年5月1日付

文科省、iPS細胞研究拠点と臨床機関をネット化-再生医療実用化急ぐ 

 文部科学省は万能細胞(iPS細胞)を軸とする再生医療の実用化・産業化に向け、京都大学など基盤的な研究に取り組む中核的研究拠点と臨床応用を目指す研究機関とのネットワーク化を進める。心臓疾患などの疾患ごとや脊髄・神経系などの組織ごとに高い専門性を持つ医療機関、大学、企業を抽出して中核拠点との連携を促し、オールジャパン体制で実用化を急ぐ。関係各省の協力も得て、2013年度から10年間程度の長期スパンで取り組む方針だ。

 研究対象としてはiPS細胞のほか、胚性幹細胞(ES細胞)や体性幹細胞を想定。京大iPS細胞研究所(山中伸弥所長)など、これらの安全性確立や標準化に向けた研究を手がけている中核拠点と臨床応用に向けた研究に取り組む機関をネットワーク化する。iPS細胞などを提供するとともに、知識の共有化を図る。心臓疾患や網膜疾患などの疾患別、あるいは体の組織別に応用研究の実施機関を決める。

 並行して立体構造を持つ細胞の培養など次世代の再生医療技術に関する研究やiPS細胞を活用して疾患の仕組みを解明する研究も進める。いずれも最長10年間程度の計画で、腰を据えた研究に取り組むよう促す。

 文科省は08年度から京大iPS細胞研究所など全国の4研究機関を再生医療の中核的研究拠点と定め、幹細胞バンクの整備や利用技術の確立に向けた研究を後押ししてきた。当初予定していた同支援策の実施期間が12年度で終わるのを踏まえ、これら基盤的な研究の継続と臨床応用に向けたネットワーク構築を促す。厚生労働省や経済産業省にも連携を求めた上で、制度設計や経費の算定を急ぎ、13年度予算の概算要求に盛り込む方向で調整する。

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