研究センターを設置 岩手大世界遺産追加登録も後押し『岩手日日新聞』2012年4月28日付

『岩手日日新聞』2012年4月28日付

研究センターを設置 岩手大世界遺産追加登録も後押し

 岩手大(藤井克己学長)は2012年度に新たに「平泉文化研究センター」を設置した。平泉の庭園文化を中心に土壌分析などを通じて中国や韓国と比較しながら解明を進め、将来的には「平泉学」として総合化することを目指している。27日には盛岡市の同大で看板上掲式が行われ、センターとしての活動が本格的にスタートを切った。

 式では、藤井学長と藪敏裕センター長(同大教育学部教授)が総合教育研究棟の玄関に看板を掲げた。

 センターは05年度から県教委と協力して「平泉フォーラム」などを実施して東アジアの視点で平泉の意義を考察したことが始まり。学内で「平泉文化の国際性と地域性」として研究拠点形成に向けて準備を進め、「世界遺産・平泉文化の総合的研究の拠点形成」が国の予算で認められたことを機に設置が実現した。

 藪センター長のほか、歴史考古学分野の伊藤博幸特任教授、中国考古学分野の劉海宇特任准教授(10月採用予定)、各学部の兼任教員14人で組織。兼任教員の中には理化学的機器分析分野(工学部)、土壌分析・形態分析分野(農学部)の研究者も含まれている。高性能実体デジタル顕微鏡システムなどを購入し、平泉庭園遺跡群から採取した土壌分析を行い、当時の植生の復元などを図っていく。

 県教委のほか一関、奥州、平泉各市町教委とも連携しながら、柳之御所遺跡や骨寺村荘園遺跡など「平泉の文化遺産」の世界遺産追加登録も後押ししていく。

 今後は中国・山東大との共同シンポジウムやワークショップなどのほか、中国の庭園調査などを行う。研究成果は年1回開催される平泉文化フォーラムの中で披露していく。

 藤井学長は「平泉は京都の平等院との関係も指摘されているほか、東アジアの視点では中国・長安とつながり、国際性、地域性を視野に研究していかなければならない。大学として特徴ある研究を推進していく」と語っている。

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