学内重要データ相互保管『読売新聞』神奈川版2012年4月17日付

『読売新聞』神奈川版2012年4月17日付

学内重要データ相互保管

 横浜国立大(横浜市保土ヶ谷区)は16日、震災や停電などで学籍や授業記録、研究成果などの電子データが失われた場合に、即時に復旧できるようにするため、宇都宮大(宇都宮市峰町)と協力し、相互に重要なデータをコンピューターサーバーに保管し合うことを盛り込んだ「大学情報戦略の協調に関する協定」を締結した。東日本大震災でデータ保護の必要性が高まっており、両大学によると、先進的な取り組みという。

 横浜国大の鈴木邦雄、宇都宮大の進村武男両学長が16日、横浜国大で協定に調印した。

 両大学によると、想定しているのは、大規模な自然災害や停電、サイバー攻撃などでコンピューターがダメージを受けデータを失う恐れがある緊急事態。学生や卒業者の学籍や履修記録、研究データといった大学運営に必要なデータや、緊急時の学生や教職員の安否情報などを、両大学内に設置するサーバーにそれぞれ保管し、互いにバックアップする体制の構築を目指す。保管データは、互いに閲覧できないようにする。

 年内に、両大学の情報管理担当者らが、保管データの優先順位や予算、データを取り扱う人材の育成などを盛り込んだ運営計画を作成する。実際の運用は2~3年後になる予定だ。

 一般的にデータが失われた場合、復旧に数か月はかかると見込まれるが、「相互バックアップ」により即日で復旧でき、復旧の時間・コストの大幅削減が期待できるという。

 両大学は互いに距離が100キロ以上離れ、災害で同時に被災する可能性が低いことなどから、2009年から災害時のデータの保護とバックアップを連携して行う研究を進めてきた。10年3月から実験用サーバーに一部データを保管し合い、実験を進めている。

 宇都宮大では昨年3月の東日本大震災直後に、栃木県内で発生した約20時間にわたる大規模停電や、その後の計画停電でサーバーに多大な負荷がかかり、データが失われるおそれがあったという。

 鈴木学長は協定締結後、「データを喪失するリスクを低コストで回避し、研究に打ち込める環境を整えたい」と期待を寄せた。

 

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