横浜国大と横浜市大、サテライト授業を拡充『日本経済新聞』関東・甲信越版2012年4月6日付

『日本経済新聞』関東・甲信越版2012年4月6日付

横浜国大と横浜市大、サテライト授業を拡充

 横浜国立大学と横浜市立大学は2012年度にそれぞれ横浜市内にサテライトキャンパスの拠点を開設し、独自の授業を始めた。両大学はこれまで建屋1棟を借りて授業を共同運営していたが11年度末で国の補助金が終了。横浜国大が芸術、横浜市大が街づくり分野に特化して、好評だった外部識者との交流を軸とした実践的な授業を続けることにした。

 横浜国大は12年度、保土ケ谷区の大学内に講座などを企画運営する拠点「横浜都市文化ラボ」を設置した。夏にも学外で映画と演劇のワークショップを開く。関係者を講師に呼び、映画や舞台を制作し市内での開催を目指す。京都精華大学と連携した都市文化を考える集中講座も夏に開く。

 横浜市大は中区にある市の施設、ヨコハマ創造都市センター内に「YCCスクール」を開設した。4月中旬から街の活性化や都市デザインなどを考える講座をセンターで始める。市内商店街やガイド協会の幹部を招き、街づくりの歴史や今後の課題を分析する。

 7月からは毎月、市民講座を開く予定。来年1月には街づくりに関するアジアの関係者を集めた国際会議も計画する。

 両大学を含む7つの大学は09年10月にサテライトキャンパス「北仲スクール」を開設。国からの補助金約2億円超で中区北仲地区に建屋を借り、授業を始めた。11年度末までに外部の講師約300人が出向いて、実践型講義や市民講座などを実施した。全国で珍しい取り組みとして、市民を含め延べ1万4000人以上が受講した。

 両大学は市や大学の施設を使うなどで事業費を従来の3分の1以下に抑える考え。ただ今後も他大学や企業に参加を呼びかけ規模拡大を狙う。「文化ラボとYCCスクールの連携も図り、共同運営時と同規模の受講者数を目指す」(横浜市大の鈴木伸治准教授)

 横浜国立大学の室井尚教授は「北仲スクールでは外部の人と学生が交わることでアイデアが生まれ、学生は社会の見方が広がった。この実験的な取り組みを途絶えずに続けたい」と話す。

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