秋入学、卒業後半年の負担軽減を 東大懇『日本経済新聞』2012年3月30日付

『日本経済新聞』2012年3月30日付

秋入学、卒業後半年の負担軽減を 東大懇

 東京大学の「入学時期の在り方に関する懇談会」(座長=清水孝雄副学長)は29日、学部の入学時期を秋に全面移行するよう求める最終報告を公表した。1月の中間まとめの公表後に学内外から寄せられた意見を踏まえ、高校卒業から入学までの半年間(ギャップターム)の学生への経済支援の充実などを課題として新たに盛り込んだ。今後、別の検討組織を設けて学内での議論を本格化させる。

 懇談会は同日、最終報告を浜田純一学長に提出した。浜田学長は「教育改革への取り組みは1合目から2合目にさしかかる。障害の存在を安易に弁解理由とせず、すみやかに行動に移す」とのコメントを出し、5年後をめどに全面移行する考えを強調した。

 東大は京都大や東北大、早稲田大、慶応大など有力11大学との協議会を4月に発足させる。清水副学長は記者会見で12大学の協議会名が「教育改革推進懇話会」(仮称)で、秋入学をはじめとする大学教育の改革を幅広く話し合うとした。

 最終報告は、グローバル人材育成や国際的な大学間競争を乗り切るために「世界の7割の国が導入する秋入学への移行が不可欠」とした中間まとめを踏襲。国際化推進と、ギャップターム中に学生に多様な体験を積ませるため、スピード感を持って検討すべきだとした。

 中間まとめ公表後、懇談会は学内から意見を公募し、387件の意見があった。費用対効果などから慎重意見もあったが、最終報告は「グローバル化に対応する大学や社会の人々のメンタリティーの転換、社会システム全体の見直しにつながるインパクトを持つ」と強調し、理解を求めた。

 一方、産業界などの反応は「おおむね好意的」と分析。他大学に同調する動きが広がっていることも踏まえ、東大単独ではなく連携して移行を目指すとした。

 そのうえで課題として指摘が多かったギャップターム中の学生の経済負担の軽減策を検討し、「経済的な理由で教育の不均等が助長されないよう十分な検討が必要」と指摘。解決策として、ギャップターム中の活動は無償のボランティアだけでなく、自治体や非営利組織(NPO)から収入を得る活動も認めることを提案。地方出身者のための寮や、入学前の学生への奨学金貸与制度などを創設するよう求めた。

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