学生証にIC乗車券 富大、来年4月から内蔵『朝日新聞』富山版2012年3月30日付

『朝日新聞』富山版2012年3月30日付

学生証にIC乗車券 富大、来年4月から内蔵
富山市、身分証で先行導入 公共交通 利用増に期待

 富山大は来年4月から、富山市の補助を受けて学生証を一新し、富山地方鉄道が路面電車などで導入しているIC乗車券を内蔵させる。市も今月1日、職員の身分証を約10年ぶりに更新し、IC乗車券の機能をつけた。公共交通の利用促進と中心市街地の活性化につながると、市では期待を寄せている。

 富大は昨年12月の役員会で、学生生活の利便性やセキュリティーを向上させるため、学生証のICカード化を決めた。従来の学生証と生協カードの機能に加え、富山地方鉄道のIC乗車券「ecomyca(え・こ・まい・か)」の計3機能を持たせることになった。北陸3県の大学では初めての試みで、2013年4月以降の新入生に対して発行する。

 1枚当たりの作製費はこれまでの70円から約21倍の1500円程度かかる。毎年の新入生は約2500人で費用負担は大きい。そこで、広瀬貞樹副学長は市に支援を要望した。「学生の利用者が増えれば、公共交通にも大きなメリットがあるはず」との思いからだ。市側は交通部局で協議し、公共交通の利用促進に効果があると判断。支援に踏み切ることを決めた。

 市はシステム改修費などへの補助として、12年度当初予算に約350万円を計上。市交通政策課によると、社会実験として中心部の人出などを調べて効果を検証しながら、15年度まで補助を続けるという。

 富大では、JR東日本のIC乗車券「Suica(ス・イ・カ)」搭載の学生証を08年から使う明治大学(東京)などの先行事例を参考に、導入に向けて準備を進めている。「県外出身の富大生は特に中心部の商店街に行かないことが多い。導入されれば街の活性化にも一役買う」と広瀬副学長。

 一方、市も今月1日、職員の身分証を約10年ぶりに更新し、「ecomyca」を内蔵させた。先行する松山市からサンプルを取り寄せて検討し、「全国の自治体で初めて定期券として使える機能も追加した」(市情報統計課)という。

 1月末時点のIC乗車券発行枚数は「ecomyca」が約4万8千枚、「passca(パ・ス・カ)」(富山ライトレール発行)が約3万2千枚、65歳以上向けの割引IC乗車券「おでかけ定期券」(市発行)が約2万3千枚で、計約10万3千枚。ここに、富大の新入生(毎年約2500人)と市職員(再任用も入れて4352人)分が加わる。

 富山地鉄も更なる利便性の向上を目指し、今月17日からIC乗車券の利用可能区間を鉄道全線に拡大した。

 市交通政策課の大場一成課長は「IC乗車券の広がりをきっかけに、公共交通の利用者が増えて少しでも街の活性化につながれば」と話している。

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