沖縄科学技術大学院大、海流予測で海保と協力協定『日本経済新聞』2012年3月28日付

『日本経済新聞』2012年3月28日付

沖縄科学技術大学院大、海流予測で海保と協力協定

 沖縄科学技術大学院大学(OIST、沖縄県恩納村)と第11管区海上保安本部(11管、那覇市)は27日、相互協力協定を締結した。両者が保有する計測データや試算結果などを相互に活用する。OISTは海流シミュレーションの精度向上に役立て、11管は漂流物の方向や速度の予測に生かす。海洋レジャーの安全確保などにつなげる。

 協定の対象期間は2014年度までの約3年間。同日、OISTのジョナサン・ドーファン学長と11管の真嶋洋本部長が協定書に調印した。

 OISTは11管が持つ水深などの詳細な実測データを海流シミュレーションに反映させる。11管はOISTのシミュレーション結果を利用し、漂流予測の精度を高める。船舶転覆時の乗組員捜索や、タンカー座礁で流出した原油の拡散などに備えることができようになるという。

 沖縄周辺の海域は、台湾から本州に向かって流れる黒潮や、黒潮から沖縄本島沿岸に分岐する海流に加え、海の温度差に起因する複雑な海流もある。OISTは、コンピューターを使った沖縄周辺の海流シミュレーションを得意としている。

 11管は海図を更新するため測量船を使って海洋地形を計測しており、センチメートル単位で水深を把握。超音波や電磁波で海流の速さも調べており、詳細な実測データを保有している。

 両者は海流の予測精度を高めることで、ダイビングやシュノーケリングといった海洋レジャーを安全に楽しんだり、船舶の事故対策を充実させたりできるとみている。タンカー座礁時に原油流出による環境への影響を最小限に抑えるためにも活用する。

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