声明 国立大学法人の「国家公務員の給与の改定及び臨時特例に関する法律」への追従を絶対に許さない

声明  国立大学法人の「国家公務員の給与の改定及び臨時特例に関する法律」への追従を絶対に許さない

 民・自・公3党による議員立法として今国会に提出され、さる2月29日に成立した「国家公務員の給与の改定及び臨時特例に関する法律」は、2011年6月に政府提案として提出され、上記議員立法の成立により撤回された「国家公務員の給与の臨時特例に関する法律案」と全く同様に人事院勧告によることなく公務員の給与を削減する内容であることから憲法第28条に関する判例に違反し違憲であることについて、我々東北大学職員組合は本日付の別の声明で指摘し、その成立を強く非難した。

 成立してしまった悪法「国家公務員の給与の改定及び臨時特例に関する法律」について、「政府はこれに合わせ、独立行政法人や国立大学にも給与引き下げを求める方針。さらに地方公務員や公立小中学校の教職員の人件費に充てる国の支出も削減に向けて調整に入る。」(『日本経済新聞』、2012年2月29日)などという報道がなされている。また、東北大学内においては、さる3月9日、大学本部が「給与改定に関する全学説明会」開催に向けた準備を進めていることを示唆する内容のメールを各部局に向けて発信したとの情報を本組合は掴んでいる。

 ここで言う「給与改定に関する全学説明会」および「各キャンパスでの説明会」において何が「説明」されようとしているのかについて今のところ大学法人当局から本組合に対して一切の予告も交渉申入れもないのでその詳細は不明であるが、その内容が何であれもし法人当局が不利益変更を行うつもりならば、労使いずれの側から団体交渉を申入れするかにかかわらず、その前提として法人当局側から組合に対して不利益変更の内容を知らせ、労使間で十分な交渉を行える時間を確保する必要がある。もし法人当局がこの手続を怠って団体交渉を行わず、あるいは一方的な「説明」をもって団体交渉を済ませたなどとして不利益変更を強行する場合には、法人側の行為は不当労働行為(誠実交渉義務違反)となる。この旨、本組合は国立大学法人東北大学当局に強く警告する。 

 そもそも、国立大学法人労働者には労働基準法と労働組合法をはじめとする労働法制が適用されているのであって、国家公務員法も、人事院規則も、また人事院勧告も一切適用されない。それゆえ、もし監督官庁であるに過ぎない文科省が国立大学法人に対して上記「国家公務員の給与の改定及び臨時特例に関する法律」に追従して給与削減を行うよう事実上強制したとすれば、それは一切の法的根拠を欠いた権力の濫用にほかならず国立大学法人の経営の自由(憲法第22条)の侵害である可能性すらあり、また、文科省に限らず総務省、財務省、あるいはその他いずれの省庁であろうとも、国の行政機関がそのような形で法的根拠なく国立大学法人労働者の賃金を下げることに関与したとすれば、その行為は憲法第13条(個人の尊重、幸福追求権)、同第14条(法の下の平等)、同第28条(団体交渉権)に直接的に違反する可能性が高いと言わねばならない。 

 以上の理由で、我々東北大学職員組合は、いかなる国立大学法人であろうと悪法「国家公務員の給与の改定及び臨時特例に関する法律」に追随することに全面的に反対する。

  また、こと東北大学について言えば、それが所在する仙台市は東日本大震災の被災地の只中にあり、その教職員労働者は全員が被災者である。そして、同じく仙台市内所在の宮城教育大学のほか隣接被災県所在の岩手大学および福島大学についてもこれと全く同じことを言うことができる。これらいずれの国立大学においてもその全教職員労働者が震災によって大打撃を受けながら、この1年間、不便で危険な環境の中でそれぞれの大学の教育と研究を正常化するために粉骨砕身してきたのである。また、地震・津波・放射能・土壌・都市計画等々に関連する研究者は自らの住むこの東北地方太平洋岸地域におけるさらなる災害発生の予防と住民の生活再建のために走り回り、さらに、東北大学附属病院の医師・看護師ら医療職員は被災地での救命医療にまことに大きな役割を果たした。 

 このように東日本大震災で被災しながらその被災地の大学の教育研究再建のために奮闘し、また被災地住民のために身を粉にしてきた者の給与を削減することにはいかなる大義名分も合理的関連性もあり得ず、また、かかる愚挙が今後のこの地域の復興にいかなるプラスの影響を与えることもあり得ないことは自明の理である。 

 我々東北大学職員組合は、全国立大学法人、特に被災3県に所在する上出4国立大学法人の長に対して、悪法「国家公務員の給与の改定及び臨時特例に関する法律」に追随して教職員労働者の給与を下げることを絶対に行わないよう要求する。そして、特に国立大学法人東北大学総長には、誠実交渉義務違反という不当労働行為を手段として賃下げという過酷な労働条件改悪を行うが如きは誰の目にも明らかな違法行為であることを認識することを強く要求するとともに、絶対にかかる行為を行うことのないよう、再度警告しておく。

2012年3月21日
東北大学職員組合

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