九大に新宇宙センター『西日本新聞』2012年3月21日付

『西日本新聞』2012年3月21日付

九大に新宇宙センター

 九州大学は4月、宇宙環境を総合的に研究する「国際宇宙天気科学・教育センター」を設立する。福岡市東区の箱崎キャンパスにある宙空環境研究センター(SERC)の機能を強化。新たに宇宙医学を取り入れるなど研究分野を広げ、世界的な研究拠点を目指すという。

 SERCは2002年設立。理学、工学研究院などの研究者13人が、太陽フレア(太陽表面の爆発現象)などの太陽活動を予測する「宇宙天気予報」の研究や、宇宙ごみの観測をしている。発足10年の節目に研究者を6人増やして組織を拡充。センター名も変更する。

 宇宙医学を研究対象にしたのは、日本人宇宙飛行士が国際宇宙ステーション(ISS)に長期滞在するようになったため。宇宙放射線やISSの閉鎖空間が人間の心身に与える影響を調べる。医学研究院から放射線医学と精神医学の教授2人が研究に加わる。

 また、従来のセンターでは宇宙空間が研究範囲だったが、太陽活動と地球の気候変動との関係を解明するために、宇宙空間と大気圏との境界部分(高度100-500キロ)も研究対象に追加。大気圏などの専門家も宇宙天気の研究に参加する。

 九大は新しいセンターを、ブラジルやインドなど海外にある宇宙天気の研究機関を統括する国際拠点にする考え。SERCの羽田亨教授(宇宙プラズマ物理学)は「宇宙環境を総合的に研究し、宇宙の平和利用で国際貢献に取り組みたい」と話している。

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